大気汚染学会誌
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道路近傍の大気汚染濃度の予測手法に関する研究 (I)
道路に直交風時のシミュレーション
池田 有光岩井 英人長藤 雅則平岡 正勝
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1983 年 18 巻 4 号 p. 329-338

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抄録

本研究は都市域の平面道路近傍の自動車排ガスによる汚染濃度を推定する方法に関するものである。使われたモデルは, 風速分布にべき関数が成立つものとしたときの非ガウシアン形モデルであり, 関連する諸パラメータは, 野外トレーサー実験による濃度データと, 風の乱流計測データ等から求められた。解析は風が道路に直角方向に吹く場合に限定したので濃度推定も同風向時に限られるが, 次のことを明らかにした。
(1) 鉛直濃度分布に関与する諸パラメータ値の平坦地域 (周辺に建物のないところ), 中層の住宅団地ビル地域, 低層住宅密集地域に対するそれぞれの値
(2) 鉛直方向拡散パラメータを乱流計測値から直接推定する手順
前者については, 風速のべき法則の指数 (m), 煙の鉛直方向の濃度分布形を示す形状係数 (s), 煙の鉛直方向の初期拡散巾 (σzo), およびラグランジュとオイラー時間スケール比 (β) である。得られた値はそれぞれ
平坦地域 m=0.25, s=1.3, σzo=2.6メートル
中層住宅域 m=0.75, s=2.4, σzo=3.1メートル
低層密集地域m=1.0, s=3.0, σzo=4.4メートル
βは場所によらずほぼ平均値として3.8が得られた。
なお平坦地域のsは道路端からの距離が大きくなるにつれて漸増する傾向が認められた。いずれのパラメータ値も, 地域の特徴をよく反映している。

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