1983 年 18 巻 4 号 p. 346-352
塗料溶剤等に使用される炭化水素系物質のうち, 現在までにその光化学反応性が十分に調べられていない物質について, 光照射実験により光化学反応性の調査を行った。光化学反応性の評価は, 主にNO減少速度によって行った。結果は, ジエチルエーテル, テトラヒドロフラソ等のエーテル系化合物, p-シメンのアルキルベソゼン系化合物, イソホロンのオレフイン系化合物等が最も高い反応性を示し, 次いでジイソブチルケトン, ジ-n-プロピルケトン等のケトン系化合物, 酢酸イソブチルのエステル系化合物, イソブチルアルコールのアルコール系化合物等が高く, その他の含窒素, 含塩素系化合物等は低い反応性を示した。
また, エーテル系化合物の化学構造と光化学反応性との関係について調査した結果, 分子量の最も小さいジメチルエーテルの反応性が最も低く, 分子量が大きくなるにつれて反応性が高くなる傾向がみられ, アルコール, エステル, ケトン, パラフィン系化合物等についての傾向と類似した結果が得られた。