大気汚染学会誌
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火力発電所排煙の大気拡散予測手法
朝倉 一雄四方 浩
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1983 年 18 巻 4 号 p. 353-369

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抄録

火力発電所を対象に行った数多くの煙上昇および大気拡散に関する実測データと, 内外の他機関のデータを整理し, 火力発電所規模の大煙源に適した煙上昇式および1時間平均濃度算定のための拡散式 (拡散パラメータ) を提案した。またその結果をもとに大規模・単一煙源に対する大気拡散予測手法をまとめた。
大規模煙源の煙上昇式として, 筆者らはBosanquet II電研修正式を以前から推奨してきたが, 今回改めて既存の煙上昇式を比較検討すると共に, 電力中央研究所とTVAの実測データを根拠として, 日, 中, 有風時 (U≧2m/s) に適用する簡易で実用的な計算式を提案した。
弱風~有風時 (U>0.4m/s) の拡散式については既存の正規分布型プルーム式を用いるものとし, 主に公害資源研究所および電力中央研究所で実施したトレーサ実験結果をもとに, 式中の煙の拡がり幅 (σy, σz) を大気安定度別又は風速階級別に求めた。
静穏時 (U≦0.4m/s) の煙上昇式についてはBriggs式を用い, 式中の温位勾配を各地の実測データをもとに検討した。静穏時の短時間濃度を求める拡散式については, 物理的に矛盾があるもののすでに実用的に使われている簡易パフ式を用いるものとし, 他煙源の影響が少ない火力発電所単独立地点近傍の環境SO2濃度の実態をもとに拡散パラメータ (α, γ) の選定を行った。

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