大気汚染学会誌
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浮遊粉じん中多量成分による発生源寄与の推定と評価
岩本 真二宇都宮 彬石橋 竜吾武藤 博昭
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1985 年 20 巻 4 号 p. 286-300

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抄録

浮遊粉じんの発生源の推定を行うため, 58年2月から3月にかけて11日間, 福岡県大牟田市内12ヵ所において, ハイボリューム・エア・サンプラーを使い浮遊粉じん採取を行った。これらの試料について25項目を分析した。その結果は, 次のようであった。
浮遊粉じんは, 大きく炭素系成分, 金属酸化物, 水溶性イオン化合物に分類でき, この3成分で粉じん全体の77%を占めていた。
これらの多量成分をもとに, chemical mass balance法により, 土壌, 自動車排気ガス, 石油燃焼, 二次生成粒子, 海塩粒子, 亜鉛精錬工場, カルシウム化合物を発生源として寄与率の推定を行った。これら7つの発生源で粉じん全体の85%を同定することができた。
また, これら発生源寄与の変動をみるために, 気象による分類および重回帰分析を行ったところ, 土壌, 自動車排ガスが粉じん濃度の変動に大きく影響していることがわかった。

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