大気汚染学会誌
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回転カゴ法によるラットの運動活性の変化から見たO3暴露の影響
樋口 洋一郎氏家 淳雄市川 勇横山 栄二
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1985 年 20 巻 4 号 p. 301-307

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抄録

本研究の目的は, 光化学オキシダントの主成分であるオゾン (O3) の効果につき検討するため, 9~15時間の明暗環境 (明期9~18時, 暗期18~9時) 下におけるラットの回転カゴ運動活性を指標にして検討したものである。
6~7, 11~12および22~24週令のウィスター系雄ラットに0.25, 0.5および1.0PPmのO3を単回あるいは0.25, 0.5および1.0ppmをそれぞれ第1日, 2日, 3日と進行的に19~22時までそれぞれ3時間暴露した。
結果は次の通りである。
1) ラットは暗期に高く, 明期に低い回転カゴ運動活性の日週パターンを示した。
2) 6~7および11~12週令のラットはO3暴露中有意の運動活性低下を示した。しかし, 22~24週令のラヅトはO3暴露中著明な運動活性の変化を示さなかった。これは成熟ラットの運動活性レベルが6~7および11~12週令ラットより低いためと考えられる。
3) O3暴露停止後, 運動活性の高進がしばしぼ認められた。
回転カゴ行動に及ぼすO3の効果の機序は充分説明出来ないが, 動物行動を利用することにより, 比較的低濃度のO3の毒性の検討に応用できると考えられる。

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