大気汚染学会誌
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幹線道路沿いの一小学校校区における二酸化窒素濃度と学童肺機能検査結果との関係
後藤 隆雄藤田 睦
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1985 年 20 巻 5 号 p. 331-341

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抄録

幹線道路沿いの一小学校校区におけるNO2濃度と学童の肺機能検査結果との関係を検討した (国道43号線とその上を走る阪神高速の二幹線道路に面している芦屋市立精道小学校)。調査は第6学年学童 (352名) を対象とし, 身長と体重の測定と共に, 肺機能検査を行った。二回のNO1濃度調査結果 (1977年と1978年) とアンケート調査結果とに基づいて, 男女各学童はそれぞれ居住地域で4グループ (道路から南北50mまでに居住する学童を第1グループ, 100mまでを第2, 300mまでを第3, そして300m以遠を第4グループ) に分類した。また対照学童は山側4kmの山手小学校同6学年学童を, 第5グループとした。
解析は学童の身長や体重を説明変数として努力性肺活量 (FVC) 計算値と実測値の比較を行った。結果:(1) 調査校と対照校学童のFVC値の差異は, 調査日等の影響によって明白ではなかった。(2) 調査校男女4グループ間のFVC値の差異は明らかになった。調査校区では, 学童の身長X (cm) と体重y (kg), そして居住する地域の南北平均NO2濃度U (μg/5ml) を用いて, FVCの予測値Z (l) を次式で計算できることを見出した。
男子: Z (X, Y, U,) = (0.0315*X+0.0229*Y-2.850)*(1.118-0.0670*U)
女子: Z (X, Y, U) = (0.0321*X+0.0226*Y-3.078)*(1.0809-0.0443*U)

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