大気汚染学会誌
Online ISSN : 2186-3695
Print ISSN : 0386-7064
ISSN-L : 0386-7064
ヨウ素工場周辺に発生したナシの葉の異常症状
II.配置法によるヨウ素汚染拡散範囲の調査
松丸 恒夫松岡 義浩白鳥 孝治
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 21 巻 1 号 p. 24-28

詳細
抄録
ヨウ素工場周辺のナシ葉に発生した異常症状の原因は, 前報Dにおいてヨウ素による大気汚染と判断した. 本報では, 汚染の拡散範囲を明らかにするために, 鉢植えしたナシ (品種, 幸水) を工場内および工場から0.2km, 0.7km, 30kmの地点に配置し, 被害調査および葉中ヨウ素分析調査を実施した.
その結果, 異常症状はヨウ素工場に配置したナシにのみ発現した. また, ヨウ素の葉中含有率には工場からの距離てい減がみられ, ヨウ素の発生源はヨウ素工場であること, その汚染範囲は0.7km程度であることが確認された. 更に, ヨウ素の葉内への集積は大気から経葉的に吸収されることによると判断された.
一方, ヨウ素汚染による枝梢の生長抑制が認められた. 葉中ヨウ素含有率からみた感受性品種「幸水」の生長影響限界濃度は6~10ppm, 異常症状の発現限界濃度は30ppm前後と考えられた.
著者関連情報
© 大気環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top