大気汚染学会誌
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大気中のPeroxyacetyl Nitrateの深冷却濃縮捕集法によるガスクロマトグラフ分析
中西 基晴松浦 章良渡辺 征夫
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1986 年 21 巻 1 号 p. 29-37

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抄録
環境大気中に存在するPeroxyacetyl Nitrate (PAN) を液体酸素で冷却したトラップに濃縮捕集し, GC-ECDで分析する方法について検討した. 捕集用のトラップとして, 管材, 充填物を変えた6種を作製して試験した結果, PANの回収率の高さ, 作製や取り扱いのし易さの点から, テフロン管 (外径: 4mm, 内径: 3mm, 長さ30cm) にFluoropak 80 (20~40mesh) を充填したものが最も適していることが判った. 本管を用いた場合, 脱離温度が0~70℃ の範囲なら捕集されたPANの分解は無視できた. 捕集能力は2.51以上あり, 特別に調整したGC-ECDでなくても, 数10 pptのPANを高精度で測定することが可能となった. また, トラップ内のPANは冷却したままに置くことにより, 48時間以上にわたって安定であり, 遠隔地での試料採取も可能となった, また, トラップ内に凝縮した水分による測定精度の低下を防ぐため, プレカット方式を取り入れた. 本法と従来の直接試料導入法とで環境大気を測定した結果, 両法による測定値は良い一致を示し, 本法が実際の環境調査に利用できることが確認された.
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