抄録
製鉄所周辺地域において大気汚染指標性の高い着生地衣植物であるウメノキゴケ (Parmelia tinctourum) を採取し, その植物体中の水銀をはじめとする10成分を分析した。その結果, ウメノキゴケ中の水銀濃度は製鉄所からの距離とともにベキ関数的に減少すること, またこの地域における気中水銀濃度の分布をもとめておき, 植物採取地点の気中水銀濃度を推定した上でその値とウメノキゴケへの水銀取り込み量とを回帰分析したところ, その取り込み量は気中水銀濃度に正比例することがわかった。これらのことからウメノキゴケが水銀による大気汚染の指標植物として有用であることが示唆された。