抄録
大気浮遊粒子状物質中重金属元素の北九州市における分布を, 浮遊粒子状物質の粒度との関連において調査するため, 市内7地点において, アンダーセンサンプラーによる浮遊粒子状物質の捕集およびその成分である重金属元素 (Mn, Fe, Cu, Zn) の分析を過去4年間にわたって行った。その結果, 浮遊粒子状物質は測定地点にかかわらず, 類似した質量粒度分布を示し, 0.43μm以下の粒子の割合が非常に高く, また質量分布関数表示では二山型になっていることがわかった。次に, 重金属元素量と浮遊粒子状物質の粒度との関係では, 測定地点にかかわらず, Mn, Feは2.1μm以上の大きい粒子に, C糠, Znは2.1μm以下の小さい粒子に多く存在していることがわかった。浮遊粒子状物質および重金属元素の濃度は, 全粒径にわたり, 対照地点よりも工業地域周辺の地点で高くなっており, これらの地点では工業地域からの重金属を含む種々の粒径をもった粒子の影響を受けていることが明らかになった。次に肺胞への影響を考慮して, 浮 遊粒子状物質を1.1μm以下の微小粒子と1.1μm以上の粗大粒子に分け, それらに含まれる重金属元素の大気中濃度および含有率を求めた。その結果, 工業地域周辺の地点では, 各重金属元素とも両粒子で, 対照地点よりも濃度が高くなっており, 両粒子の人為的負荷がこれらの地域では大きいものと思われる。さらに重金属元素の含有率に関し, 微小および粗大粒子と土壌粒子とを比較した結果, 両粒子とも土壌粒子とは重金属元素組成が異なっていることがわかった。