大気汚染学会誌
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走査-分析型電子顕微鏡によるスパイクタイヤ粉じんの分析
下原 孝章宇都宮 彬岩本 眞二今 武純武藤 博昭
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1987 年 22 巻 4 号 p. 269-277

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抄録
3月 (積雪時期) および10月の2回, スパイクタイヤを装着した自動車の走行が多い道路近傍で大気浮遊粉じんを採取し, 走査-分析型電子顕微鏡を用い, スパイクタイヤ装着時期に特徴的な粒子を観察した。
スパイクタイヤ装着時期の粉じん中にはイオウ, ハロゲン等の元素あるいは鉱物質とは結合していない, 炭酸カルシウム状の特徴的な粒子が観察された。このような炭酸カルシウム状粒子はアスファルト舗装材内部に存在し, 道路表面の白色ペイントの主成分であるCa-Si-Ti等が混合した粒子とは明らかに区別できる。また, このような炭酸カルシウム状粉じんは, 一般の土壌, 石炭燃焼粒子, 重質油燃焼粒子等には認められない。
以上のようにカルシウムは組成的には季節による変化がそれほど認められないが, 化合物の形態では大きな差異が認められた。スパイクタイヤはアスファルト舗装材の内部まで削るため, アスファルト粉じんとして炭酸カルシウムのような粉じんが発生するのであろう。
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