大気汚染学会誌
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大気中の水溶液における硫黄化合物と窒素化合物の酸化反応
原 宏
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1990 年 25 巻 1 号 p. 1-29

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抄録
気相にある, 硫黄および窒素の化合物が大気中の水に溶解したときに進行する酸化反応をまとめた。まず, この系の化学反応を考察するときの重要なポイントをマトリックスの形に整理し, 解説した。次に, SO2を中心にH2S, NOxなどについて, H2O2, O3などによる反応の速度やメカニズムの研究について, 最近の進歩を紹介した。
これらの知見の多くは, 湖沼, 海洋表面など, 大気と界面をなす液相についても応用できる。
主要な結論は以下のとおりである。
(1) S (IV)-H2O2, S (IV)-O3の反応速度式が確立された。
(2) OHやSO4-;などのラジカル反応も重要である。
(3) S (IV)-Fe (III) などの金属触媒反応の有力なメカニズムが提出されている。
(4) 液相の光化学反応も重要である。
(5) SO2, H2O2, O3などの適応係数が実測された。
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