千葉市内の自動車交通量の多い地点において, 1987年4月より1年間にわたり大気中浮遊粒子状物質をアンダーセンサンプラーを用いて採取し, 粒子状物質, イオン成分 (NH
4+, Na
+, K
+, Ca
2+, Mg2
+, SO
42-, NO
3-, Cl
-) の粒度分布および大気中濃度の季節変動を検討した。
粒子状物質およびNH
4+を除くイオン成分の粒度分布はいずれも年間を通じ2μm付近を谷とする二山型を示したが, NH
4+成分は年間を通じ2μm以下の微小粒子中にのみ一山型の粒度分布を示した。これらの分布は, 粒子状物質のように年間を通じて粒度分布が粗大粒子と微小粒子の粒度分布がほぼ等しいもの, NO
3-, Cl
-のように季節によって粒度分布が大きく変動するもの, SO
42-, NH
4+, K
+のように年間を通じて粒度分布が微小粒子側に偏るもの, そしてNa
+, Ca
2+, Mg
2+のように年間を通じて粒度分布が粗大粒子側に偏るものに大別することができた。
大気中濃度では, TSP, SO
42-, K
+のように年間を通じて季節変動が小さいもの, Na
+のように冬季に濃度が低くなるもの, そしてNO
3-, Cl
-, NH
4+, Ca
2+, Mg
2+のように冬期に濃度が高くなるもの, に大別することができた。
全イオン成分当量濃度は, 微小粒子モードにおいて冬期に高く夏期に低い季節変動を示したが, 粗大粒子モードでは, 強い季節風が吹いた7月を除いてイオン成分濃度の季節変動が小さかった。
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