抄録
孤立した汚染質の発生源が海岸に立地する場合, 内部境界層の形成によるいぶし現象のため高濃度大気汚染がしばしば観測される。本報告では, 海岸立地の単一汚染源に対するアセスメント等に資する目的で, いぶし現象を取り入れた簡略的な拡散モデルの開発を行った。このモデルはLyonsらのいぶし現象モデルを簡略化したものであり, モデルの検証は日本原子力研究所によって茨城県東海村で行われた1982, 83年の拡散実験データを用いた。その結果, 最大着地濃度などにおいて従来の簡略拡散モデルに比べ実測値との一致は良いことがわかった。