大気汚染学会誌
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ガソリン自動車の走行時における二酸化炭素排出量の推定
才木 義夫中沢 誠
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1990 年 25 巻 4 号 p. 287-293

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抄録

地球温暖化の要因物質であるCO2について, ガソリン自動車の走行時における排: 出係数を求め, TRIASの理論値と比較した。また, 排出係数とガソリン販売量の統計データから我が国におけるガソリン自動車からのCO2排出総量を計算し, その経年推移を調べた。
ガソリン自動車からのガソリン1l当たりのCO2排出量 (排出係数) はTRIASの理論値では2.38kg/lであるが, 市街地の実走行モードおよび定速モードにおける排ガス分析結果から求めた排出係数は2.32kg/lおよび2.35kg/lとなり, 理論値より実走行モードで約25%低い値となった。この原因はガソリン中の炭素がCO2に変化する以外にその一部がCO, HCおよび粒子状物質に消費されているためと考えられる。ガソリン自動車の走行時のCO2排出量 (9/km) は車速が約50km/hで最低となり, それより低速側および高速側で増大する傾向を示した。
ガソリン販売章と実走行時の排出係数から求めた我が国のCO2排出総量は1987年度で89, 293×103トンであり, 毎年ほぼ増加している。前年度比で見た場合, 1971年度から1978年度が約3~9%, 1979年度から1987年度が約2%の増加であった。

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