大気汚染学会誌
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大気エアロゾルモニタリングへのテフロン繊維製フィルターの応用
大歳 恒彦関根 嘉香橋本 芳一
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1990 年 25 巻 4 号 p. 280-286

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抄録

ハイボリューム・サンプラー (Hi-Vol) を用いて大気エアロゾルのモニタリングを実施する際の, テフロン (Polytetrafluoroethylene) 繊維製フィルターの導入に関する検討を行った。現在, Hi-Volに使用されている石英繊維製フィルターは主成分のSiをはじめ多くの元素のブランク値が高いため, 国設大気測定網 (NASN) で実施しているような放射化分析には適していない。一方テフロン繊維製ブィルターはHi-Volの吸引に耐える機械的強度を有し, また放射化分析に適したろ材である。しかしそれ自身の重量が重く, また静電気の影響を受けることから秤量が困難であり, 微小粒子に対する捕集効率が低く, 疎水性のために水溶性物質の抽出に問題であると指摘されている。以上の点について検討した結果, 秤量時に化学天秤の皿の上にアルミホイルを敷くことで静電気の影響がなくなり, 安定な秤量値を得ることができた。またNASNの方法のように流量1500l/minで24時間, 大量に試料を採取する場合, 捕集量は石英繊維製フィルターと比較して差がなかった。水溶性物質の抽出は少量のエタノールを添加することによって抽出効率を高めることができた。Hi-Volのみを用いた大気エアロゾルモニタリングにおいてテフロン繊維製フィルターの導入は有効であると考えられる。

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