大気汚染学会誌
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稠密調査によるNO2濃度の時間空間変動と空間分布構造の安定性
東京都の市部を中心とした約20km四方の領域内の変動
松本 幸雄新藤 純子廣崎 昭太伊藤 政志青木 一幸朝来野 国彦
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1991 年 26 巻 3 号 p. 136-151

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抄録
大気汚染質濃度の時間的および空間的な変動の大きさと特徴, および空間分布構造の安定性を評価するために, 東京都の市部を中心とする約20km×20kmの領域において, 簡易測定法を用いてNO2の日平均濃度を約2kmおきに約100地点で測定した。調査は1985年12月と1986年6月の2回で, 各々10日間である。日と地点を因子とする2元配置分散分析および交互作用項の主成分析により解析を行ない, 各効果の大きさと特徴を明らかにした。この結果, 1984年に今回の領域の一部で5.5km四方の領域において行った調査で既に得られた結果の一部を次のように再確認できた。(1) 日による変動 (日効果) が最も大きく, 気象条件や社会活動の状況によって濃度が著しく異なる。(2) 地点による濃度差 (地点効果) も明らかにあり, 主要道路や交差点での高濃度の傾向がある。また, 次のような新たな知見も得られた。(3) ある測定地点と周辺の地点との濃度の相関は, 着目する地点により差があり, 遠距離まで相関の強い地点と, 周辺の地点と相関の少ない地点があった。また, 空間自己相関は, 日により顕著な差があり, 風向を反映した強い異方性もみられた。(4) 2kmおきの測定では局所的に変動の大きい場所があり, 領域の広さと誤差変動は比例しないが, 変動の非常に安定している小領域も認められた。(5) 1984年の調査に比べて日効果, 地点効果を除去したときの残差分散が大きく, この原因が調査時期の違いか地点の違いかは不明であった。(6) 地点x日の交互作用のパターンには季節の違いによる寄与が最大で, 続いて風向因子および局所的な汚染源の影響が寄与した。
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© 大気環境学会
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