大気汚染学会誌
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長崎県における高濃度SO2汚染の解析
山下 敬則森 淳子本多 雅幸鵜野 伊津志若松 伸司
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1991 年 26 巻 5 号 p. 320-332

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抄録

長崎県下における一般環境大気測定局でのモニタリング結果と雲仙野岳 (標高1142 m) における高所のSO2濃度の連続測定結果を用いて高濃度SO2汚染の発現のメカニズムに関する解析を行った。 その結果, 雲仙野岳において高濃度のSO2が出現する時には,鹿児島での850 mbにおける風向はE~SWであり, 桜島からの火山ガスが雲仙野岳まで輸送されていることがわかった。 一方, 雲仙野岳での高濃度の出現と地上での高濃度の発現は必ずしも一致していない。 気圧配置パターソの解析によれば地上での高濃度は九州地域が移動性高気圧の後面に位置する場合に起こることが明らかにされた。 このことから長崎県下における地上のSO2の高濃度汚染は, 移動性高気圧の後面での沈降性逆転層 (強安定成層) のために桜島火山プリュームの鉛直拡散が抑制さすることと, 下降気流による上空から地上付近への汚染質の輸送が重要なメカニズムとして作用していることが明らかとなった。

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