抄録
1989年8月2日から3日にかけて福島県会津盆地で盆地気象の観測を行ったところ, 8月2日の午後には純放射量が下向きであるにもかかわらず盆地低層の気温が降下した。この原因についてAMeDASデータより考察すると, 関東方面から会津盆地へこの日の午後遅く気流が流入したことが示唆された。
観測期間中は上層1000~2000m付近の風速は3~4m/sどまりで弱いにもかかわらず盆地内で閉じた循環は起こらなかった。このように, 日本列島の内陸部にある盆地は, せいぜい海岸から100km程度しか離れておらず, 夏期の上層風が弱い場合には日本列島の幅のスケールを持つ海風やさらにスケールの大きい広域的局地風に取り込まれてしまうと考えられる。