大気環境学会誌
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4次元データ同化手法による関東地域の局地循環シミュレーションと評価
鵜野 伊津志
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1995 年 30 巻 6 号 p. 351-366

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抄録

4次元データ同化手法 (Four-Dimensional Data Assimilation;FDDA) を用いた局地循環モデルを関東・中部地域に適用し, シミュレーション結果の定量的な評価を行った。数値モデルとしては, コロラド州立大学メソスケールモデルをもちい, エアロロジカル・アメダスのルーチンデータとパイバル観測による高時間・鉛直分解能のデータをFDDAに利用した。モデルの評価は, 1981年7月15日~17日に実施された南関東地域の特別立体観測データとアメダスデータを用いた。シノプティックスケールの地衝風のみを与えたモデルでは, 特別観測時の関東地域の風系を再現することができなかった。これに対して, エアロロジカルデータをFDDAで取り込むことにより, モデルの日中の精度は大幅に改善され, モデルの平均風速・風向の時間変化と観測結果も良く一致した。一方, 夜間はエアロロジカルとアメダスデータのみによるFDDAでは, 海風から陸風への急激な変化を正確に再現することが出来なかった。モデルの標準偏差は観測値よりも小さく, モデルで用いた地表面性状 (境界条件) の空間分布が実際と異なるためと考えられた。更に, FDDAのデータの密度と時間間隔についての検討を行い, FDDAに用いる観測データ点が増加するにつれて, モデルと観測の一致性は上昇し, その傾向は夜間に特に顕著であることが示さ

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