大気環境学会誌
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漏洩したDense Gasの蒸発の影響を考慮した二層ボックスモデル
西田 薫伊藤 英一郎高木 興一山本 浩平
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1996 年 31 巻 3 号 p. 111-121

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抄録

本研究の目的は, アンモニアやLNGのように大容量のタンクに低温加圧貯蔵されている危険物質が漏洩したときの濃度を正確に予測することである。加圧放出の特徴は, 気液混合のガス雲が形成されることである。従来の研究では, ミストが生成されないと仮定して濃度予測モデルが構築されていたが, 本研究では, ガス雲中の液体の蒸発の効果を考慮するため二層ボックスモデルを提案した。本モデルは, dense gasの瞬間加圧放出時の濃度を予測計算するものであり, 瞬間放出の事故例で報告されている可視現象と定性的に一致する結果が得られた。更に, 加圧貯蔵庫からの連続放出に対しては, 二層ボックスをパフと同様に扱って計算した。また, 従来のモデルでは的確に表現できなかった鉛直方向の濃度分布を予測できるように改良した。本モデルの計算結果とDesert Tortoise実験データとの比較を行ったところ, 鉛直方向の濃度分布についても高い再現性が得られた。

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