1996 年 31 巻 6 号 p. 292-302
1984年から1992年にかけて, ほぼ各年の9月中下旬から10月上旬にかけて赤城山において霧水を捕集しその化学種を分析した。霧水が採取できたときの天気概況を5つの天気図パターンに分類した。また霧と雨水中化学成分の汚濁を各試料の9種の化学成分の濃度を全試料の各成分の平均濃度で割って標準化した無次元当量濃度と, 各試料における化学成分の分率を使って二通りクラスター分析を行い, 天気と汚濁の特徴を明らかにした。
その結果, 前者では全イオン濃度が支配的となり, 大きく分類すると高, 中, 低濃度集団に分かれ, 後者では海塩起源のイオン含有率がデンドログラムの枝別れの主な要因となった。また両者の結果は, 本研究で区分した天気パターンとよく対応した。
赤城山で観測された雨や霧水中の当量N/S (NO3-/nss-SO42-) 比は, 日本全国平均の雨水のN/S比よりも大きく, 特に霧についてはかなり大きな値を示した。また, N/S比は天気条件によって変わることが認められた。