大気環境学会誌
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ビル街区の温度場に及ぼす人工廃熱の影響に関する研究
井上 実近藤 裕昭亀卦川 幸浩福島 明
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1998 年 33 巻 2 号 p. 93-108

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抄録
Large-eddy simulationを用いて単一および複数のビルまわりの温度場の計算を行った.熱源として人工廃熱に着目し, 新宿の高層ビル街の年間の平均廃熱量を求めてこれがビルのどの部分から排出されるかによって温度場が変化する様子を計算した.また, 道路幅による変化の様子を調べた.ビルが単一の場合は, 温度分布は熱源の位置にあまり依存しないが, 複数ビルがキャノピーの構造を作ると熱源の位置がキャノピー内の温度分布に大きく影響するようになる.廃熱高度が高い場合には, 熱は比較的上空に抜けやすいが, キャノピー内は安定成層になる.廃熱高度が低い場合にはキャノピー内の全体が昇温する.道路幅が大きいとビル後方に水平渦対が形成され, 側方の道路面からビル後ろ側に巻き込まれた空気がビルの後ろから上昇し, 上空との熱の交換がスムースにおきる.一方道路幅が狭いと, 渦対が形成されず, 空気はビル前方で下降し, 前のビルの側面へ逆流して前のビルの側面前方より上昇して上空へぬけ, 熱の交換が抑えられる.
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