大気環境学会誌
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白山地域に生育している2種類のアキノキリンソウ (Solidago virgauzea L.) に対する紫外線照射の影響
中嶋 信美高橋 真哉玉置 雅紀久保 明弘青野 光子佐治 光
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2001 年 36 巻 5 号 p. 301-307

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抄録

白山地域に生育しているアキノキリンソウ (Solidago virgaurea L.) のうち, 山頂部に生育しているグループ (ON) と登山口付近に生育しているグループ (BD) の種子を採取した。3週間自然光温室で栽格した実生に, 白色光と同時に紫外線 (UV-B) 照射を1日当たり12時間を行なった。UV-B照射開始から1週間および2週間後に試料を採取し, アントシアニン類の蓄積, 第3葉の葉面積および地上部の生重量を測定した。その結果, 1週間UV-B照射を行うとONではBDに比べて多くのアントシアニン類を蓄積し, その蓄積量はUV-B照射量と相関があった。その相関は2週間照射した場合でも観察された。第3葉の葉面積成長はON, BDともに阻害され, その阻害率はUV-B照射量と相関があったが, ONとBDの間に大きな差はなかった。また, ONの生重量増加はUV-B照射1週間目に強く阻害されていたが, 2週間目にはBDと同じ程度に回復していた。以上の結果から, BDとONではUV-Bに対して応答1生が異なり, ONはBDに比べて, UV-B照射により速やかに紫外線吸収物質であるアントシアニン類を蓄積できることから, 強い紫外線環境に適応できるものと考えられる。

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