大気環境学会誌
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アイドリング時の排出実態およびアイドリング・ストップの効果
横田 久司舟島 正直田原 茂樹佐野 藤治坂本 和彦
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2003 年 38 巻 3 号 p. 190-204

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抄録

自動車排出ガスによる大気汚染は, 幹線道路周辺などにおいて未だに深刻である。本研究では, 自動車排出ガスによる大気汚染を低減するため, アイドリング時の排出特性および停車中にエンジンを停止 (アイドリング・ストップ) した場合の排出ガスの低減効果について調査を行った。ガソリン車7台およびディーゼル車13台について, シャシーダイナモメータを用いて, 東京都実走行パターンおよびアイドリング・モードによる排出ガス測定を行った。その結果は, 以下の通りである。
1. 排出ガスの排出率 (mg/s) および燃料消費率 (mL/s) を算出し, 実走行パターンとアイドリング・モード間での比較を行った。その結果, ガソリン車では, アイドリング時の燃料消費率は実走行時の47%に相当した。ディーゼル車では, アイドリング時のNOxは実走行時の30%, 同じく燃料消費率は28%に相当した。アイドリング時の排出率等は, 実走行時に比較して無視できないレベルにあることが確認された。
2. エンジンが再始動するときに排出ガスの量は僅かに増加するが, 数秒から数分以上のエンジン停止により, ディーゼル車ではNOxおよび燃料消費量が低減し, ガソリン車では燃料消費量が低減することが確認された。三元触媒装着のガソリン車ではアイドリング時のNOx濃度は非常に低く, エンジン停止の効果は認められなかった。
3. これらの結果を東京都内で使用されている小型貨物車の運行状況に適用したところ, アイドリング・モードによる排出ガス寄与率は, NOx3.5%, CO23.1%に達することが見積もられた。これから, 未把握の排出源として駐車中のアイドリングの実態調査が必要であることが示唆された。

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