大気環境学会誌
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都市内幹線道路を対象とした沿道大気質予測シミュレーションモデルの構築 (II)
ケーススタディ: 走行量低減およびアイドルストップによる大気質改善効果の検討
吉川 康雄林 誠司平井 洋上原 清
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2003 年 38 巻 5 号 p. 287-300

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抄録

第1報で報告した沿道大気質シミュレーションモデルを用いて, 自動車の走行量低減とアイドルストップが幹線道路沿線のNOx排出量および濃度分布に与える影響を検討するケーススタディを行った。
交通流予測モデルおよび排出ガス量推計モデルによって, 道路リンク群を通過した全走行車両を平均した速度変化およびNOx排出量分布を求めた。べースケースでは, 速度は交差点停止線を底点とするV字型のプロファイルとなり, 排出量は交差点上流側の停止線近傍で増大する分布となることがわかった。また, 移流拡散濃度は, ビルの背面や交差点の角近傍など定在的な再循環渦の発生する箇所が高濃度となった。走行量低減の場合には, 走行台数の低減および走行速度の増加により, NOx排出量は全域でやや低減する。アイドルストップの場合には, 信号待ちで停車する車両が多い交差点上流側のNOx排出量大幅に低減することが示された。更に, 自動車排出ガス測定局位置の風向に対する濃度プロファイルおよび日平均濃度の定量的な予測も行った。
以上のケーススタディによって, 本シミュレーションモデルが大気質改善方策の効果検討において有用であることが検証できたと考えられる。

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