抄録
領域気象モデルを用いて九州地域を対象に海陸風の年間シミュレーションを行った。海陸風の発生日は九州地域にあるAMeDASの観測データを用いて特定した。シミュレーション結果は観測結果との間に非常に良い一致が見られ, 九州地域における海陸風の地域特性と海陸風の循環を2km格子で十分に再現できることが示された。シミュレーション結果から, 九州地域における陸風は季節変化が大きく, 夏季の陸風の風速は他の季節に比べ弱いことが示された。海風の進入開始時間は有明海など内海に沿う地域で2~3時間の差が見られ, 他の地域に比べ季節変化が顕著であることが明らかとなった。福岡における陸風の季節変化に背振山や三郡山地からの冷気流が大きく寄与していることが示された。福岡における海風と陸風の最大風速高度と最大風速は各季節異なる挙動を示し, 境界層内の大気安定度に依存していることが明らかとなった。