大気環境学会誌
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濃度勾配が示す草地からの亜硝酸ガスの間接発生
林 健太郎野口 泉
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2006 年 41 巻 5 号 p. 279-287

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抄録

アルカリ含浸ろ紙を2段としたフィルターパック法を用いて, 茨城県つくば市のシバ草地における2004年6月29日~2005年1月11日のガス状の亜硝酸 (HONO) および硝酸 (HNO3) の濃度および濃度勾配を観測した. 暖候季および寒候季のHONO濃度はそれぞれ0.86および1.2ppb (v/v), HNO3濃度はそれぞれ1.0および0.23ppbであり, HONO濃度はHNO3濃度と同程度であった. 一方, 暖候季および寒候季の地上4-2m間のHONOの濃度勾配はそれぞれ-0.012および-0.027ppbm-1, HNO3の濃度勾配はそれぞれ0.10および0.008ppbm-1であった. 負の濃度勾配はネットフラックスが発生であることをあらわし, HONOが地表から発生していることに加えて, 発生量が乾性沈着量を上回っていることが示された. 地表からのHONOの発生は, 気相-地表系の不均-反応による二酸化窒素からのHONOの生成によると考えられる. 大気-地表間のHONOの交換はネットフラックスとして定量されるべきであり, 沈着速度の推計では地表からのHONOの発生を考慮する必要がある.

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