太成学院大学紀要
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初期工業学校における蔵前の役割
東京工業大学・前身校の工業教員養成に注目して
大西 巧
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研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2012 年 14 巻 p. 169-180

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抄録

東京職工学校や東京工業学校の卒業生の就職先の中には、各地の工業学校の前身校や師範学校が選ばれている。工業系の学校でありながら、教育機関に就職したのはなぜか。それは東京職工学校設立の理由の一つに、府県の職工学校の教員を養成する使命があったから。特別生制度や工業教員養成所の開設により、この使命は制度化され、工業界の活況にあわせ各地の工業学校設立の需要に応じた。各地に設けられはじめた職工学校や工業学校は、東京職工学校や東京工業学校の付属校をモデルとした。その初期の工業学校に卒業生は校長として、また教員として赴き学校の基礎を作った。大正5年の記録によると、全国工業学校35校中その校長32名は何れも東京工業学校の卒業生であり、各校の教員も多数を占めた。本稿では、東京職工学校の発展過程や国家の実業教育政策を明らかにし、東京工業大学・前身校の中等工業学校教育に果たした役割を考察したものである。

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