太成学院大学紀要
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デンマークと日本の人間教育(I)
池田・ヘニングセン対談が示唆するもの
寺田 治史
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キーワード: 対話, 師弟論, 生涯学習
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2013 年 15 巻 p. 179-190

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抄録

教育の目的は人間の幸福にあると考えたのは,デンマ-クではニコライ・フレデリック・セブリン・グルントヴィ(Nikolaj Frederik Severin Grundtvig 1783-1872)であり,わが国においては牧口常三郎(1871-1944)である。(1)近年,行われている各種の幸福度調査ではいずれの調査でもデンマ-クは常に上位を占め,わが国は下位に位置する。今後,我が国の教育を考える時,彼の国の教育理念を再認識し,大いに学ぶことがあるように思える。副題に掲げた「池田」とは創価大学・学園創立者,池田大作(1928〜)のことである。小説「人間革命」の著者でもあり広く世界の教育者と対談を重ね,2012年度で世界の教育学術機関から315を越える名誉学術称号が贈られている。また「ヘニングセン」とはHans Henningsen(1928〜)のことである。グルントヴィ研究の第一人者として著名であり,デンマ-ク教員育成大学協会理事長(1993〜2003)などを勤めた教育者であり,牧師でもある。1994年にはデンマ-ク王室より「国家ナイト十字勲章」の称号を贈られている。(2)この両者が対談集「明日をつくる"教育の聖業"-デンマ-クと日本 友情の語らい-」(2009 潮出版社)を編んでおり,本稿は,それに因んで,グルントヴィの教育理念が日本の教育に及ぼしてきた歴史を振り返りつつ,牧口の教育理念が池田によって新たな人間教育論へと展開されている背景を探ってみようと考えた。

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