抄録
要旨:症例は66歳男性で,慢性腎不全,前立腺癌,副甲状腺機能亢進症と直腸癌術後のため通院中であった.発熱と腹痛を主訴に受診し,急性胆管炎を伴う総胆管結石に対し内視鏡的治療が行われた.大きな傍十二指腸乳頭憩室の肛門背側に十二指腸乳頭を認め,プレカット後に中切開のESTとENBDおよび膵管脱落型ステントの留置が行われた.しかし,処置後4日目より消化管出血を認め一時ショック状態となった.計3度の内視鏡的止血術と輸血が行われたが結局止血が得られず,状態が悪化したため外科へ転科した.緊急で経十二指腸的乳頭形成術に準じた止血,総胆管結石の切石,胆嚢摘出とCチューブドレナージ術を行い,止血が得られ退院し得た.1983-2010年の医学中央雑誌にて検索したところ,ショックを伴うようなEST後の出血例に対する外科的止血法について,具体的な方法を言及した報告はまれであり報告する.