胆道
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第56回日本胆道学会学術集会記録
日本胆道学会認定指導医養成講座
  • 岡部 義信, 牛島 知之, 島松 裕, 平井 真吾, 寺部 寛哉
    2021 年 35 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/05/31
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    胆道疾患の診療においてERCP関連手技は不可欠な手技となっているが,消化器内視鏡分野において偶発症の発生頻度が高く,また発生した場合には時に重篤な病態となることがある.そのため,術者は安全に手技を完遂させる努力(リスクマネージメント),あるいは偶発症が発生した際の対処法(セーフティーマネージメント)を想定しながら手技を行うことが求められる.しかしながら,初学者のみならず指導医となっても一定の頻度で偶発症は発生する.その要因には,大きく手技的要因と患者要因に大別されるが,できるだけ手技的要因は回避すべきと考える.本稿では,ERC関連手技で発生した偶発症に対する対処法あるいは教訓となった症例を提示し概説する.

  • 伊藤 啓, 越田 真介, 菅野 良秀, 小川 貴央, 楠瀬 寛顕, 酒井 利隆
    2021 年 35 巻 2 号 p. 143-150
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/05/31
    ジャーナル 認証あり

    胆道癌に対するEUSと腔内超音波検査(IDUS)の主たる目的は進展度診断で,腫瘍エコーと膵や十二指腸,血管などの周囲臓器との関係から癌の広がりを判定する.胆管癌や胆嚢癌では,EUSやIDUSで壁の外側高エコー層に腫瘍浸潤による不整や断裂がみられる場合にはT2以上(SS深部以深)と判断する.胆管癌では水平方向進展診断が術式決定に重要で,CTやMRI,EUS,IDUS,ERCに加え症例により経口胆道鏡下の狙撃生検による診断を追加して総合的に判断する.乳頭部腫瘍におけるEUSやIDUSは,Oddi筋への癌浸潤の判定は困難で,T1aとT1bの区別はできない.膵や十二指腸筋層の浸潤の有無,胆管膵管への進展の有無の判定は可能で,内視鏡的乳頭部切除術の適応決定に有用な情報を提供する.

  • 上坂 克彦
    2021 年 35 巻 2 号 p. 151-159
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/05/31
    ジャーナル 認証あり

    胆管内乳頭状腫瘍intraductal papillary neoplasm of the bile ducts(IPNB)の分類,臨床病理学的事項は,2019年のWHO分類第5版において,修正・加筆がされた.この中では,日韓共同研究で提唱されたType 1(古典的IPNB)とType 2(胆管の乳頭腺癌に相当するもの)についても触れられた.IPNBの切除後の予後は,5年生存率で50%前後~80%台と,検討の対象によってばらつきはあるものの,通常型の胆管癌より良好である.代表的な予後因子として,外科的切除断端陽性,占拠部位(肝外),浸潤,リンパ節転移,Type 2,サブタイプ(pancreatobiliary type),MUC1陽性などが挙げられる.術後の経過観察においては,癌の通常の再発形式に加え,残った胆道系における異時性多発再発やimplantationにも注意が必要である.

症例報告
  • 兵 貴彦, 北畑 裕司, 川井 学, 廣野 誠子, 岡田 健一, 宮澤 基樹, 上野 昌樹, 速水 晋也, 高橋 祐一, 山上 裕機
    2021 年 35 巻 2 号 p. 160-167
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/05/31
    ジャーナル 認証あり

    50歳代男性.当院血液内科で原発性マクログロブリン血症の定期検査にて,黄疸を指摘された.造影CT動脈相で膵内胆管に淡く造影される19mm大の腫瘍と,胆管拡張を認めた.EUSでは十二指腸乳頭部近傍に19mm大の低エコー腫瘤を認め,ソナゾイド造影で,強い造影効果を受けた.ERC下生検で,small cell carcinoma and adenocarcinomaと診断された.遠位胆管発症のneuroendocrine carcinomaもしくはmixed neuroendocrine non-neuroendocrine neoplasm(MiNEN)と診断し,幽門輪切除膵頭十二指腸切除術を施行した.病理学的所見では膵内胆管に原発する神経内分泌癌(70%)と高分化型腺癌(30%)を認め,MiNENの診断であった.肝外胆管原発MiNENの1切除例を経験したので,文献学的考察を加え報告する.

  • 野津 新太郎, 菅原 秀一郎, 岡﨑 慎史, 元井 冬彦
    2021 年 35 巻 2 号 p. 168-174
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/05/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は50歳女性.左乳癌術後(41歳,pT1N0M0 Stage I.ER(+),PgR(+),HER2(3+)),多臓器転移再発に対して化学療法中であった.増悪する上腹部痛を自覚し,血液検査及び画像検査から軽症急性胆嚢炎と診断した.乳癌の病勢も安定しており,耐術可能であったため,腹腔鏡下胆嚢摘出術の方針とした.胆嚢は頸部に白色結節を認め,高度に緊満していた.胆嚢管断端は腫瘍浸潤により内腔が途絶し,病理所見として,胆嚢頸部の全層に癌細胞の浸潤を認めた.免疫染色で癌細胞はER(+),PgR(+),HER2(-)であり,乳癌の転移と診断された.術後6日目に退院となり,術後1年10カ月現在,健在である.今回乳癌術後多臓器転移再発のため化学療法中,急性胆嚢炎を契機に診断された乳癌胆嚢転移症例を経験した.乳癌胆嚢転移は稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.

  • 仁科 勇佑, 赤堀 浩也, 寺田 好孝, 太田 裕之, 森谷 鈴子
    2021 年 35 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/05/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は93歳女性.腰椎圧迫骨折で他院入院中に右季肋部痛を認めた.腹部CT検査で腫大した胆嚢を認め,急性胆嚢炎の診断で手術加療目的に当科紹介となった.当院で再検したCT検査で浮腫性の壁肥厚を伴う著明な胆嚢腫大を認め,一部の胆嚢壁は連続性が不明瞭だったため壊疽性胆嚢炎の診断で同日緊急手術を腹腔鏡下に行った.胆嚢周囲に腹水を認め,頸部で反時計回りに約2回転捻転した胆嚢を認めた.捻転を解除し,胆嚢動脈,胆嚢管の処理を行い,腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.胆嚢内部には結石を数個認めた.また粘膜は広範囲に壊死性変化を来しており体部に認めたポリープ様の平坦隆起性病変から,病理組織検査でwell differentiated adenocarcinomaが検出され,胆嚢癌と診断された.術後合併症を認めず術後15日目に前医に転院となった.今回我々は胆嚢癌を合併した胆嚢捻転症の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

  • 新田 敏勝, 清水 徹之介, 廣川 文鋭, 竹下 篤, 東野 健
    2021 年 35 巻 2 号 p. 182-187
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/05/31
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    96歳男性,2年前に総胆管結石に対し内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)が施行されており,胆管・胆嚢内気腫を認めていた.今回,無石性気腫性胆嚢炎を発症したため緊急手術を施行した.胆嚢の穿孔は認めなかったが術中採取した胆嚢穿刺よりE.coli,Bacteroides fragilisが同定された.また無石性胆嚢炎であることから虚血により壁の炎症から発症しそこに感染が生じたために発症時には炎症反応がとらえられず,そのために壁に炎症,壊死反応が著明となり胆嚢内圧が上昇して気体,液体が腹腔内へ漏出したと考えられた.本疾患は,急激な経過を認める胆嚢炎がその特徴であり,常日頃から疾患に対する認識を持って診療に当たらねばならない.本症例のように術前から胆管気腫を認めていた気腫性胆嚢炎の報告はなく,診断に苦慮したが救命し得た1切除例を経験したため報告する.

  • 豊留 孝史郎, 田口 宏樹, 樋之口 真, 藤田 俊浩, 岩屋 博道, 岩下 祐司, 田ノ上 史郎, 橋元 慎一, 永田 祐貴, 畠中 真吾 ...
    2021 年 35 巻 2 号 p. 188-196
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/05/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は66歳女性.腹部超音波検査で膵頭部嚢胞が疑われ当科を受診した.MRCP,EUSで総胆管および近傍に胆管と思われる管腔構造を認めた.造影EUSでは,胆管内に多血性の低エコー腫瘤を認め,胆管腫瘍の合併も疑われた.胆管造影では,胆管内は隔壁様の構造で隔たれ環状構造を形成しており,副交通胆管枝(communicating accessory bile duct:CABD)と診断した.また,胆嚢管は2本に分岐し,それぞれの胆管に合流し,重複胆嚢管類似の胆道走行を認めた.胆管内には輪郭不整な透亮像を認め,腫瘍生検結果は線維性ポリープであった.亜全胃温存膵頭十二指腸切除術が施行され,術後病理標本では,膵上縁より上流のレベルで重複した胆管上皮を認め,CABDに矛盾しない所見であった.CABDと重複胆嚢管類似の複雑な胆道構造および,胆管線維性ポリープを合併した症例を報告する.

  • 髙栁 卓矢, 坂本 康成, 金綱 友木子
    2021 年 35 巻 2 号 p. 197-204
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/05/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は53歳女性.咳嗽を主訴に近医受診し,黄疸を認め,血液検査上,肝胆道系酵素の上昇があり当科を紹介された.造影CT検査にて,右肺上葉と右主気管支起始部に腫瘍を認めた.一方で,膵頭部周囲の腫大リンパ節とともに,遠位胆管に造影効果を伴う壁肥厚による狭窄を認めた.気管支鏡検査では右主気管支入口部に腫瘍があり生検の結果,原発性肺腺癌と診断した.またERCにて遠位胆管狭窄を認め,同部位に生検を施行し,ステント治療による減黄術を行った.同組織診の結果から,肺腺癌膵周囲リンパ節転移による遠位胆管狭窄と診断した.その後,全身化学療法を導入し,3コース施行後の造影CTでは胆管狭窄の改善を認め,治療開始後18カ月の時点で胆管狭窄の再燃なく経過している.

    肺腺癌の膵周囲リンパ節転移による遠位胆管狭窄に対して,全身化学療法が奏功し胆管ステントが不要となった症例は比較的稀であると考えられるため報告する.

  • 豊澤 惇希, 和唐 正樹, 榊原 一郎
    2021 年 35 巻 2 号 p. 205-213
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/05/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は75歳女性.黄疸を主訴に当院受診.画像診断でNETを考える膵頭部腫瘤と胆管拡張,多発肝腫瘤を認めた.ERCPでの胆管生検では腺癌,膵頭部腫瘤へのEUS-FNAではNET,多発肝腫瘤の肝生検ではNETが検出された.以上より胆管癌とNETの合併と診断した.ソマトスタチンアナログを1カ月投与し,NETの肝転移巣は縮小傾向であったため,胆管癌が予後に影響すると判断し,胆管癌に対して幽門輪合併膵頭十二指腸切除術を行った.病理結果は胆管癌に関してはpT3aN1M0 pStIIBであり,また膵頭部腫瘤は巨大なリンパ節転移であり,NETの原発巣は十二指腸であった.

    胆管癌と十二指腸NETを合併し,診断および治療方針の選択に苦慮した貴重な症例のため報告する.

  • 篠﨑 博志, 三浦 邦治, 竹島 薫, 小泉 亘, 皆川 卓也, 辻 忠男
    2021 年 35 巻 2 号 p. 214-220
    発行日: 2021/05/31
    公開日: 2021/05/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は85歳男性.前医で総胆管結石による閉塞性黄疸に対しERCP施行した際,結石を把持したバスケットカテーテルによる乳頭部への嵌頓(バスケット嵌頓)を来し,当院に紹介入院となった.当院でエンドトリプターでの結石破砕を試みたがバスケット部分のワイヤーが断裂し,先端が胆管内に遺残した.そこでPTBD後,断裂したバスケットワイヤーを経皮経肝胆道鏡(percutaneous transhepatic cholangioscopy:PTCS)下で経皮的に回収し,結石を電気水圧衝撃波破砕療法(electronic hydraulic lithotripsy:EHL)で破砕をした.破砕した結石は経乳頭的に除去した.結石の成分は炭酸カルシウム98%以上であった.バスケット嵌頓及びワイヤー断裂のトラブルシューティングにPTCS下治療が有用であった症例を経験したので報告する.

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