胆道
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原著
  • 池永 直樹, 島田 有貴, 藤本 崇聡, 田村 公二, 渡邉 雄介, 阿部 俊也, 井手野 昇, 藤森 尚, 仲田 興平, 小田 義直, 相 ...
    2025 年39 巻5 号 p. 735-743
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2025/12/31
    ジャーナル 認証あり

    2010~2023年に当科で根治切除を行った胆嚢癌47例を後方視的に解析し,ICPN由来胆嚢癌の臨床病理学的特徴や術前診断の可能性を検討した.ICPN由来胆嚢癌は8例(17%)で,胃型3例,腸型1例,胆膵型4例であった.通常型胆嚢癌と比較し,年齢,性別,腫瘍径,膵・胆管合流異常,pT分類,pN分類に有意差を認めず,生存割合にも差はなかった.細胞診6例中2例で悪性細胞が検出されたが,術前にICPNと診断された症例はなかった.RASの拡張を伴う胆嚢内腔の乳頭状隆起がICPN由来胆嚢癌の特徴であり,早期発見の手がかりとなる.進行例では通常型胆嚢癌と同等の悪性度を示すため,通常型に準じた術式が望まれる.

  • 杉山 元, 牛島 知之, 岩佐 雅英, 永田 克己, 吉村 壮平, 斉東 京禄, 勝本 充, 中野 昌彦, 柳 克司
    2025 年39 巻5 号 p. 744-750
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2025/12/31
    ジャーナル 認証あり

    当院における90歳以上の超高齢者の総胆管結石症49例に対する内視鏡治療の現状について報告する.男女比は17:32,年齢中央値は92.5歳で最高齢は99歳.未処置乳頭34例での初回胆管挿管成功率は85.3%,全症例で乳頭処置は51回(EPLBD23回,EST22回等),胆道処置は69回(結石除去術53回,EBS16回)施行した.最終的に完全結石除去率は77.6%(38例),12.2%(6例)がEBSとなった.偶発症は27.8%,2例の死亡例を経験した.身体的理由で腹臥位が困難な5例は左側臥位で処置を施行した.超高齢者では様々な背景を持つ症例が多く,予期せぬ偶発症が起き重篤な経過を辿ることがある.また無症候性胆管結石に対する治療方針は確立しているとは言い難く,十分なインフォームド・コンセントの上,症例に応じより慎重に対応する必要がある.

  • 菅 元泰, 大金 良槻, 酒井 美帆, 關根 優, 渡部 主樹, 高橋 知也, 大内 麻愉, 大野 泉, 大山 広, 高屋敷 吏, 大塚 将 ...
    2025 年39 巻5 号 p. 751-759
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2025/12/31
    ジャーナル 認証あり

    肝門部領域胆管癌(pCCA)における周術期管理では,術前胆道ドレナージ(preoperative biliary drainage,PBD)が推奨されるが,ドレナージ法の選択が予後に影響を与える.本研究では,pCCAに対し外科的切除を施行した患者のうち,PBDを受けた症例を対象に,経鼻胆管ドレナージ(ENBD),従来型プラスチックステント(cPS),インサイドステント(iPS)によるドレナージ法のRBO発生率を比較した.その結果,iPS群はcPS群に比べRBO発生率が有意に低く(7.7% vs 44.1%,p=0.03),多変量解析においてもcPSがRBO発生の独立因子であった.iPSは術前待機期間が長期化する症例や術前化学療法施行例においても有用である可能性が示唆された.本研究は単施設の後ろ向き観察研究であり,今後の前向き多施設研究が求められる.

総説
  • 池永 直樹, 中村 雅史
    2025 年39 巻5 号 p. 760-768
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2025/12/31
    ジャーナル 認証あり

    消化器外科における低侵襲手術の発展は胆道疾患に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術から始まり,今日では膵頭十二指腸切除術にまでその適応が拡大している.中でも胆道癌に対する低侵襲膵頭十二指腸切除術は,技術的困難さと解剖学的複雑さを伴うが,ロボット支援手術の進歩と術者教育の整備により,安全に施行されるようになってきている.本総説では,胆道疾患に対する低侵襲手術の歴史的背景と現状を概観し,低侵襲膵頭十二指腸切除術を安全に遂行するために必要な“precision anatomy”の概念について,右肝動脈,下膵十二指腸動脈,第一空腸静脈および下膵十二指腸静脈といった重要血管の解剖学的バリエーションを中心に解説する.また,当科で実施しているthree-layer dissectionによる安全な上腸間膜動脈周囲の郭清手技についても紹介する.

  • 殿塚 亮祐, 向井 俊太郎, 土屋 貴愛, 田中 麗奈, 永井 一正, 糸井 隆夫
    2025 年39 巻5 号 p. 769-776
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2025/12/31
    ジャーナル 認証あり

    急性胆嚢炎に対する治療として,超音波内視鏡下胆嚢ドレナージ(EUS-GBD)は,手術リスクが高い患者に対する有効な選択肢として注目されている.従来の経皮的ドレナージ(PTGBD)や経乳頭的ドレナージ(ETGBD)に比べ,EUS-GBDは疼痛や再発率,有害事象の点で優れる報告も多く,特にLAMS(lumen-apposing metal stent)の登場によりその技術的成功率と安全性は向上している.適応は「Never surgery」とされる症例を基本とし,術前ドレナージとしての応用も一部で検討されているが,瘻孔や癒着の影響により腹腔鏡下胆嚢摘出術の難易度を高め,開腹手術への移行のリスクも報告されている.技術習得には症例経験が不可欠であり,安全な導入には適切なトレーニングが求められる.今後は高齢化社会を背景に症例の増加が予想されるが,現時点では適応を遵守し,専門的施設での施行が望まれる.

症例報告
  • 板矢 晶子, 石戸 圭之輔, 木村 憲央, 長瀬 勇人, 若狭 悠介, 鶴田 覚, 後藤 慎太郎, 吉澤 忠司, 袴田 健一
    2025 年39 巻5 号 p. 777-785
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2025/12/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は64歳男性.X-2年に肝浸潤,および十二指腸浸潤を伴う胆嚢癌に対し,拡大胆嚢摘出術,十二指腸部分切除術を施行した.S-1を用いた補助化学療法を導入したものの,術後10カ月目にCA19-9値の上昇,CTにて胆嚢摘出部近傍に境界不明瞭な腫瘤を認め局所再発の診断となった.Gemcitabine/CDDP(GC)療法を選択し,6コース後にCA19-9の陰性化と再発病変の著明な縮小が得られた.そこで24コース後(GC療法開始13カ月後)のX年にconversion surgeryを施行した.膵頭部に20mm大の腫瘤を触知し膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では膵外に20mm大の腫瘤を認め前回切除した胆嚢癌と同様の組織像であり局所再発の診断であった.R0切除が達成され治療効果判定はGrade 1aであった.術後補助化学療法としてGC療法を6カ月完遂し,現在術後15カ月無再発生存中である.

  • 安部 智之, 清水 晃典, 池田 守登, 竹井 大祐, 大下 彰彦, 米原 修治, 田妻 進, 花田 敬士
    2025 年39 巻5 号 p. 786-791
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2025/12/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は36歳,男性.既往歴として高血圧と糖尿病を有していた.黄疸を主訴に精査加療目的に当院紹介となった.腹部造影CT検査では遠位胆管に淡く造影される胆管壁肥厚像を認め,遅延相まで造影効果が遷延していた.同部位から上流の胆管は著明に拡張していた.腹部MRIでは,T1WIにおいて遠位胆管に低信号を示し,T2WIで淡い高信号を呈する結節像を認めた.ERCPで遠位胆管に片側性の圧排が加わった狭窄像を認めた.IDUSで遠位胆管狭窄部の片側に低エコーを呈する腫瘤像を認めた.胆管狭窄部には胆管壁と連続性を認め,胆管壁外への浸潤を認める腫瘤性病変を認めた.胆管狭窄部の擦過細胞診で腺癌の診断が得られた.遠位胆管癌の術前診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を行った.病理学的所見では胆管原発腺扁平上皮癌であった.術前のERCPやMRCPで膨脹性発育を呈するという腺扁平上皮癌に特徴的な画像所見を示し,比較的若年者に発生した胆管原発腺扁平上皮癌の1切除例を経験したので報告する.

  • 伊原 諒, 光安 崚, 後野 徹宏, 田中 利幸, 平塚 裕晃, 永山 林太郎, 丸尾 達, 植木 敏晴, 二村 聡
    2025 年39 巻5 号 p. 792-799
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2025/12/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は60代,女性.背部痛があり,近医を受診し,USで胆嚢腫瘤を指摘されたため,当科に紹介となった.画像検査では分節型胆嚢腺筋腫症に合併した胆嚢体部癌と,その底部側にも胆嚢癌が疑われた.細胞診目的で施行したERCPでは膵胆管高位合流を認め,胆汁中アミラーゼは49,800IU/Lと高値であった.膵胆管高位合流を伴った胆嚢腺筋腫症に発生した胆嚢癌と診断し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.病理診断は分節型胆嚢腺筋腫症に合併した乳頭型胆嚢癌(Stage II:T2bN0M0),底部は平坦型胆嚢癌(Stage II:T2bN0M0)であり,追加肝床部切除とリンパ節廓清を行った.胆嚢腺筋腫症は,特に分節型では底部に胆嚢癌合併のリスクが高いとされているが,膵胆管高位合流(膵・胆管合流異常を含む)による膵液逆流がある際は,胆嚢腺筋腫症部に癌が合併することを念頭においた診断および治療が必要である.

  • 瀬尾 信吾, 中島 亨, 野間 文次郎, 田村 陽介, 小柳 由季, 浦岡 直礼, 仙谷 和弘
    2025 年39 巻5 号 p. 800-810
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2025/12/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は73歳の男性で,慢性C型肝炎の既往を有した.内科にて蛋白尿の精査中,2カ所の偶発肝腫瘍を指摘された.腫瘍マーカー値はPIVKA-2が1003mAU/mLと高値であった.肝dynamic CTにて,S8腫瘍(42mm)は早期濃染し平衡相にてwashoutを認めたが,S6腫瘍(10mm)は早期濃染を認めたがwashoutは乏しかった.EOB-MRIでは両腫瘍は共に,T1強調で低信号域,T2強調・拡散強調にて高信号域,造影では早期濃染と肝細胞相での低信号域を認めた.以上より同時性に多発した肝細胞癌2病変と診断し,2カ所の肝部分切除術を実施した.術後の病理診断は,S8腫瘍は肝細胞癌の像であったが,S6腫瘍は異型の乏しい拡張胆管の集簇と内部の胆汁栓を認め胆管性過誤腫と診断した.早期濃染を示す肝病変では胆管性過誤腫も鑑別疾患の一つになるということを医療者は認識しておく必要がある.

  • 田中 利幸, 中村 亮介, 中島 美紀, 江崎 薫, 松岡 大介, 後野 徹宏, 平塚 裕晃, 永山 林太郎, 丸尾 達, 植木 敏晴, 岸 ...
    2025 年39 巻5 号 p. 811-817
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2025/12/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は70代男性.肝門部領域の1型胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)に対して2002年拡大肝右葉切除+肝門部胆管切除術を施行.術後5年間は再発なく経過した.2011年12月当科入院時に,左肝内胆管(B3)内に腫瘤を指摘された.左肝内胆管(B3)から経皮経肝胆管ドレナージ(PTBD)を施行.経皮経肝胆道鏡(PTCS)下に狭窄部の腫瘤に対する生検で腺癌を認めた.腫瘍は局所に限局しており,初回手術から10年後の2012年2月に肝外側区域切除術を施行した.最終病理診断は,IPNB with high-grade intraepithelial neoplasiaで,初回手術病変と類似の組織像のため異時性の多中心性発生の病変と診断した.再手術後12年9カ月に他病死するまで無再発であった.IPNBの根治術後の遺残胆管に多中心性発生した病変に対して再切除しえた症例の報告は少なく,その機序についての考察も含めて報告する.

  • 與儀 竜治, 原 和生, 大澤 一郎, 笹本 彰紀
    2025 年39 巻5 号 p. 818-825
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2025/12/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は57歳男性.検診で肝胆道系酵素上昇と食道静脈瘤を指摘された.CT・MRCPで中部胆管狭窄と壁肥厚,肝外門脈閉塞を認め,EUSで胆管壁や周囲の静脈瘤による多血性所見を確認し,胆管静脈瘤と診断した.門脈血栓による閉塞に伴って側副血行路が発達し,静脈瘤を形成したと考えられた.食道静脈瘤にEISを,門脈血栓に抗凝固療法を施行したが十分な効果は得られず経過観察した.3年半後に血栓が上腸間膜静脈・脾静脈へ進展したため再精査し,JAK2V617F陽性が判明し,骨髄穿刺所見も含め本態性血小板血症と診断された.JAK2遺伝子・本態性血小板血症に起因する過凝固状態が門脈血栓形成と胆管静脈瘤発生に寄与したと考えられる.原因不明の肝外門脈閉塞症では骨髄増殖性疾患を念頭に置いた精査とJAK2変異検査,血液内科との連携の重要性が示唆された.

  • 森田 剛文, 井田 進也, 武田 真, 長倉 優花, 後藤 真奈, 竹内 裕也
    2025 年39 巻5 号 p. 826-833
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2025/12/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は70歳女性.近医でCT施行したところ,胆嚢壁肥厚と膵頭部嚢胞性病変を指摘された.腹部MRIでは胆嚢体部に限局性壁肥厚を認め,分節型胆嚢腺筋腫症が疑われた.また,膵臓には複数の嚢胞性病変を認め,分枝型IPMNが疑われた.半年後に再検したところ,胆嚢体部の壁肥厚が結節状に増大し,膵頭部嚢胞性病変に壁在結節が出現していた.胆嚢癌と膵頭部IPMCと診断し,胆嚢床切除兼膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織検査では,胆嚢腫瘍は癒合管状~乳頭管状を呈した腺癌で,漿膜下層に浸潤していた.膵頭部嚢胞性病変の内容液は黒緑色調の粘液様物で,内部に壁在結節を認めた.壁在結節以外の嚢胞壁内層にも腺癌細胞の裏打ち像が認められ,原発巣と同様の組織像を呈し,膵の外側に位置することなどから,胆嚢癌の嚢胞状リンパ節転移と診断した.嚢胞状リンパ節転移を伴う胆嚢癌の報告は少なく,経時的変化を観察できた報告は認めなかった.

エキスパート・レクチャー
胆道専門医講座 膵・胆管合流異常
  • 大塚 英郎, 石田 晶玄, 堂地 大輔, 青木 修一, 水間 正道, 海野 倫明
    2025 年39 巻5 号 p. 840-849
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2025/12/31
    ジャーナル 認証あり

    膵・胆管合流異常,先天性胆道拡張症では,胆汁や膵液の相互逆流によりさまざまな合併症を発症する.相互逆流を分離し,胆管癌発癌を予防する目的で「肝外胆管切除・胆道再建」が行われるが,術後肝内結石や遺残胆管発癌など,長期を経て特徴的な合併症を発症する.肝門部での相対的狭窄や肝内胆管の先天的狭窄,胆管と膵管の合流形態など,その病態を十分に把握して手術を行うことが重要である.非拡張型では,その発癌リスクについて十分解明されておらず,胆管切除の要否についても結論が出ていない.施設間で統一された診断基準による「非拡張」の診断と症例の集積,発癌リスク評価が期待される.手術の技術的進歩に伴い,腹腔鏡下手術やロボット支援下手術などの低侵襲手術が応用されつつある.低侵襲性,整容性より,広く普及することが期待されるが,術中偶発症や術後長期合併症など今後解決されるべき技術的課題も少なくない.

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