肝内胆嚢および胆嚢管合流異常のために,間欠的な右肝管通過障害と胆管炎症状を反復する稀な病態を経験した.症例は15歳男性.現在までに10年近く腹痛を反復していた.血液検査で肝胆道系酵素および炎症反応上昇あり,肝内胆嚢および胆嚢管合流異常の疑いはあるが原因の特定に至らなかった.
腹痛発症直後の腹部超音波検査で,胆嚢腫大と隣接する右肝管の狭窄,肝内胆管拡張を認めた.磁気共鳴胆道膵管撮影で肝内胆嚢および胆嚢管合流異常が疑われた.内視鏡的逆行性胆管膵管造影では胆嚢管は前後区域枝分岐部付近に合流しており,右肝管が広範に胆嚢と接していた.胆嚢への造影剤注入により右肝管の圧迫による狭窄が出現した.狭窄が合流部より中枢側のため胆汁鬱滞が遷延すると推定した.手術は腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.胆嚢管の処理時にインドシアニングリーン(ICG)蛍光法で胆管造影し安全性を担保した.術後は症状の再燃を認めていない.
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