胆道
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第55回日本胆道学会学術集会記録
日本胆道学会認定指導医養成講座
  • 味木 徹夫, 津川 大介, 柳本 泰明, 福本 巧
    2020 年 34 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル 認証あり

    肝門部領域胆管癌の肝切除には右側肝切除(右肝切除術,肝右三区域切除術),左側肝切除(左肝切除術,肝左三区域切除術)がある.術式選択のポイントは,胆管に沿った癌の進展(水平進展)と癌の周囲進展(垂直進展)の正確な診断,肝予備能の適切な評価である.胆管進展の診断は,MDCT,直接胆管造影,3D胆管造影が有用で,これらの正診率は80%前後と報告されている.経乳頭的胆管マッピングバイオプシーは表層進展の評価に有用だが,偽陽性の問題や正診率に課題がある.周囲血管への進展診断はMDCT,IDUSが有用で,適切な症例選択により門脈,動脈合併切除の施行例が増加している.肝予備能の評価は予定残肝容積の測定とICG検査が重要で,残肝容積40%以上,残肝K値0.05以上が安全性担保の条件となる.ICG検査だけでは十分な評価ができない場合,アシアロシンチ,残存肝の肝生検などを施行し,肝切除術式選択の補助とする.

原著
  • 石川 卓哉, 川嶋 啓揮, 大野 栄三郎, 飯田 忠, 西尾 亮, 鈴木 博貴, 植月 康太, 八鹿 潤, 山田 健太, 芳川 昌功, 宜保 ...
    2020 年 34 巻 2 号 p. 145-152
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル 認証あり

    経腹壁超音波検査は簡便であり胆嚢病変の検査における第一選択となる.近年,腹部領域での3Dエコー技術が進歩し注目されている.当院で5mm以上の胆嚢隆起性病変に対して経腹壁3Dエコーを行った21例を対象として,通常観察所見に加えて3D画像を評価し,診断に寄与する所見を検討した.最終診断は胆嚢癌2例,良性ポリープ19例であった.通常観察所見では胆嚢癌は有意に大きく(21.5mm vs. 8mm,P = 0.019),表面構造と内部点状高エコーの有無において癌と良性ポリープで有意差を認めた(P = 0.001,P = 0.029).3Dエコーではいずれの病変も明瞭に描出可能であり,特に最大径の計測および基部,表面構造,多発病変の有無についての認識が容易となった.胆嚢隆起性病に対する経腹壁3Dエコーは病変の形態認識を容易にし,超音波診断において補助的役割を果たす.

  • 佐々木 隆, 高松 学, 古川 貴光, 三重 尭文, 武田 剛志, 春日 章良, 松山 眞人, 尾阪 将人, 笹平 直樹
    2020 年 34 巻 2 号 p. 153-162
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル 認証あり

    胆道神経内分泌腫瘍は非常にまれな疾患である.そこで当院で経験した胆道神経内分泌腫瘍17例について検討した.原発部位は胆嚢と十二指腸乳頭部に多く,胆嚢は女性に多く十二指腸乳頭部は男性に多かった.また胆嚢7例中6例は神経内分泌癌であった.外科切除10例のうちNET-G1以外の7例全例で再発し,ほとんどが肝転移再発であった.また胆道神経内分泌癌11例に対するシスプラチン+イリノテカン併用療法の治療成績は,奏効率72.7%,病勢コントロール率90.9%,無増悪生存期間中央値7.9カ月,生存期間中央値12.0カ月と比較的良好であった.Grade 3以上の有害事象として,白血球減少5例(45.5%),好中球減少7例(63.6%),貧血3例(27.3%)の他,血小板減少・発熱性好中球減少・食欲不振・下痢・肝障害・低Na血症をそれぞれ1例(9.1%)ずつ認めたが,忍容性はある治療と考えられた.

総説
  • 有坂 好史, 荻巣 恭平, 花本 浩一
    2020 年 34 巻 2 号 p. 163-174
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル 認証あり

    胆嚢腺筋腫症はRokitansky-Aschoff sinus(RAS)が増殖し胆嚢壁肥厚をきたす良性病変であり,病理学的には「組織標本上1cm以内に5個以上のRASの増殖がみられ,3mm以上の壁の肥厚を呈する」とされるが,臨床的には明確な基準はない.画像診断の文献的考察から「4mm以上の壁肥厚を認め,壁肥厚に一致して拡張したRASや壁在結石を認めるもの」と定義し,壁肥厚の計測は腹部US(EUS),造影CTで行い,小嚢胞構造やコメット様エコー,pearl necklace signを参考に診断するのが妥当である.胆嚢癌疑い例は,造影CTやEUSで表面粘膜や層構造の詳細な検討を行い,胆嚢癌除外困難例,分節型の胆石合併や砂時計様変形例,有症状例,結石充満例は胆嚢摘出術を考慮する.経過観察は,初回は3~6月後とし,変化がなければ以後は6~12月毎が推奨される.

症例報告
  • 山川 達也, 橋田 和樹, 内田 晧士, 守本 芳典, 北川 裕久
    2020 年 34 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は65歳男性,12年前に胆嚢結石症に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けた既往があった.

    健康診断の腹部超音波でモリソン窩に腫瘤を指摘された.

    当院で施行した,CTとMRIの結果は遺残胆石による腹腔内膿瘍,それと連続して皮下膿瘍が判明した.

    超音波ガイド下で穿刺するも膿瘍は消失せず,今回単孔式腹腔鏡手術により腹腔内膿瘍に対しては気腹を用いたアプローチを,皮下膿瘍に対しては切開排膿後に気嚢を用いたアプローチを用いてドレナージし完治しえた1例を経験した.遺残胆石による腹腔内膿瘍や皮下膿瘍に対して単孔式腹腔鏡手術により創部を最小限に施行し低侵襲性と整容性を考慮した報告はなく,今回報告をさせていただく.

  • 木村 俊久, 飯田 敦, 佐藤 保則, 五井 孝憲
    2020 年 34 巻 2 号 p. 181-187
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は58歳,男性.近医で高血圧と糖尿病を治療されていたが,右季肋部痛の精査目的に当院に紹介された.来院時の血液生化学的検査所見では白血球増多と血清トランスアミナーゼの軽度の上昇を認めた.腹部USおよび腹部造影CTでは胆嚢内に複数の小結石を認め,胆嚢体部肝床側に径約1cmの嚢胞性病変の集簇を認めた.MRIでは胆嚢内容と嚢胞性病変内容の相違が示唆された.悪性所見を認めなかったため腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.病理組織所見では嚢胞性病変は線維組織で裏打ちされ,嚢胞内面を覆う上皮は認めなかった.また嚢胞性病変周囲にRokitansky-Aschoff sinus(以下RASと略)の破綻を示唆する所見を認めたことから嚢胞性病変はRASから形成されたと推測された.胆嚢壁内に形成される嚢胞性病変は稀であり症例の蓄積と検討が望まれる.

  • 藤村 侑, 田端 正己, 中邑 信一朗, 中村 俊太, 瀬木 祐樹, 出﨑 良輔, 小林 基之, 大澤 一郎, 岩田 真, 三田 孝行
    2020 年 34 巻 2 号 p. 188-193
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル 認証あり

    MDCT,DIC-CT,MRCP,EUSでは描出されず,術中胆道造影で診断し得たcholedochoceleの1例を報告する.症例は58歳女性.左下腹部痛精査のため近医で施行されたCTで主膵管拡張を指摘され,他医を紹介された.他医のMRCPで膵・胆管合流異常が疑われ当科を紹介された.DIC-CTでは胆管とともに膵管も描出されたが,共通管や交通枝は明らかではなかった.上部消化管内視鏡では乳頭部に膨隆や憩室,分離開口の所見は認められなかった.EUSでは胆嚢壁はびまん性に肥厚していたが,胆管に嚢胞や拡張所見はなかった.ERCPを勧めるも拒否され,胆管非拡張型の膵・胆管合流異常の疑いで,腹腔鏡下胆嚢摘出術および術中胆道造影を施行した.透視下に胆嚢管より造影剤を注入すると,盲端様の胆管末端部から細い胆管を介して径10mm大の嚢胞が造影され,さらに膵管が造影され,choledochoceleと診断した.術後4年の現在,胆管炎や膵炎症状の出現はなく,膵管,胆管径にも著変は認めていない.

  • 益子 太郎, 中野 明, 増岡 義人, 平林 健一, 中郡 聡夫
    2020 年 34 巻 2 号 p. 194-199
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は83歳,女性.上腹部痛を主訴に前医受診.精査の結果,上部消化管穿孔疑いで当院救急搬送となる.既往に慢性腎不全があり73歳時から維持血液透析が施行されている.来院時血液生化学検査では著明な肝機能障害と膵酵素の上昇を認めた.腹部造影CT検査では十二指腸周囲と後腹膜側に著明な腹腔内遊離ガス像と液体貯留を認め,十二指腸穿孔と診断,緊急手術を施行した.開腹すると総胆管に穿孔と壊死の所見を認め,胆道結石を認めなかったことから特発性総胆管穿孔と診断し,緊急で胆嚢摘出,肝外胆管切除を施行した.術後十二指腸側胆管断端の破綻があり,腸液の漏出を認めた.術後42日目に改善し,ドレーン抜去,術後71日目に転院となった.総胆管穿孔の原因は特定できなかったが,総胆管の血流障害が考えられた.

  • 黒木 直美, 髙橋 祐
    2020 年 34 巻 2 号 p. 200-204
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
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    症例は66歳,女性.食思不振と黄疸を契機に発覚した膵胆管合流異常症合併の肝門部領域胆管癌に対し右肝切除・尾状葉切除,肝外胆管切除および再建,門脈合併切除再建を施行した.術後,十二指腸側胆管断端縫合不全による膵液漏を生じたが,内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(endoscopic naso-pancreatic drainage)チューブ留置を行い,改善した.

  • 松林 宏行, 石渡 裕俊, 蘆田 良, 大木 克久, 山本 有祐, 岡村 行泰, 伊藤 貴明, 杉浦 禎一, 佐々木 恵子, 角田 優子, ...
    2020 年 34 巻 2 号 p. 205-213
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
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    胆管神経内分泌腫瘍(NET)は稀なため,まだ十分な情報が集積されていない.症例1:79歳,女性.主訴は黄疸.CTで下部胆管(Bi)に30mmの膵と等吸収の結節を認め,生検では神経内分泌癌(NEC)を認めた.膵頭十二指腸切除(PD)とトポテシン+シスプラチンの補助化学療法を行ったが,32カ月後に肝転移にて永眠された.症例2:68歳,男性.肝障害を契機にCTで肝門部に淡く染まる15mmの腫瘤が発見された.切除標本ではNET(G2)であった.術後25カ月経過し,無再発生存中.症例3:81歳,女性.主訴は黄疸.CTでBiに38mmの低吸収病変が見られ,生検で腺癌を認めた.胆嚢にも33mmの腫瘤を認め,PDを施行した.胆管病変はNEC,胆嚢は腺癌で,術後2カ月生存中である.胆管NET/NECの診断には十分な病理検体が必要と考えられた.胆管NECは予後不良であり,早期外科切除と適切な化学療法が求められる.

  • 鹿股 宏之, 高橋 正人, 津田 栄彦, 佐々木 俊樹, 宮内 隼弥
    2020 年 34 巻 2 号 p. 214-222
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は60歳代男性.腹痛を主訴に当院受診し,胆管炎,閉塞性黄疸の診断で入院した.CTで,ほぼ肝左葉全体を占拠するような境界不明瞭な腫瘤と肝門部胆管内に充実成分をみとめた.直接胆道鏡で肝門部胆管に腫瘤があり,左肝管は確認できなかった.生検で腺癌であった.また,全大腸内視鏡検査で下行結腸に2型病変を認め,生検で腺癌であった.肝病変は境界が不明瞭であり,大腸癌の肝転移よりは,肝内胆管癌と診断した.治療は,左半結腸切除,拡大左肝切除,尾状葉切除,肝外胆管切除再建,を行った.切除標本割面像では,肝左葉の胆管内全体に充満する腫瘍栓をみとめ,肝門部胆管に突出していた.病理組織所見は大腸癌病変と類似しており,免疫染色でCK-7陰性,CK-20陽性,CDX2陽性であり,大腸癌の肝転移と診断した.現在,術後7カ月が経過し,無再発で外来化学療法中(XELOX療法)である.

  • 秋元 悠, 石原 裕基, 豊澤 惇希, 青木 秀樹, 加藤 博也
    2020 年 34 巻 2 号 p. 223-231
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は61歳男性.肺扁平上皮癌に対してNivolumabを計15コース投与し,最終投与2カ月後より心窩部痛が出現,血液検査にて胆道系酵素の上昇を認め,CTにて乳頭部から胆管にび漫性に造影効果を伴う壁肥厚を認めた.ERCPでは,総胆管拡張を認めるも狭窄は認めなかった.胆管生検では,上皮下にCD8陽性T細胞優位のリンパ球浸潤を認めた.上記所見より免疫関連(irAE)胆管炎と診断した.ステロイド治療やミコフェノール酸モフェチル導入も改善乏しくアザチオプリンに変更したところ,肝胆道系酵素は改善に転じ化学療法再開可能となった.irAE胆管炎は,ステロイドにて改善乏しい場合は免疫抑制剤の投与が推奨されているが,免疫抑制剤の有効性は明らかではない.アザチオプリン導入にて改善を認めたステロイド不応性irAE胆管炎を経験したため,文献的考察を加えて報告する.

  • 船水 尚武, 尾崎 貴洋, 三島 江平, 五十嵐 一晴, 本多 正幸, 若林 剛
    2020 年 34 巻 2 号 p. 232-236
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル 認証あり

    症例は47歳女性.数カ月前より心窩部痛を認め,近医より当院へ紹介となった.腹部CTで胆石,胆嚢壁の肥厚,および周囲リンパ節の腫脹とCA19-9の軽度上昇を認め,悪性腫瘍を否定できず,PET-CTが施行された.しかし,異常集積を認めず慢性胆嚢炎と診断された.MRCPで胆嚢管の分岐は通常型と判断し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.胆嚢管と胆嚢動脈を剥離しCritical view of safetyを作成した.胆嚢管を処理する際に,胆嚢管から肝内に連続する構造物を認めた.胆嚢管に合流する副肝管と判断し,胆嚢側で胆嚢を切離した.術前MRCPを検討すると副肝管の存在を認め,久次分類V型と判断した.また術後に施行したERCPでも胆嚢管より連続する副肝管を認めた.副肝管は遭遇する頻度は少ないが,胆道損傷のリスクであり,術前に副肝管の存在を念頭に置いた読影が肝要であると思われた.

胆道専門医講座 胆道癌の減黄と管理
  • 原 和生, 羽場 真, 桑原 崇通, 奥野 のぞみ, 孝田 博輝, 清水 泰博
    2020 年 34 巻 2 号 p. 237-243
    発行日: 2020/05/31
    公開日: 2020/05/31
    ジャーナル 認証あり

    内視鏡的胆道ドレナージについて,内視鏡医の立場からドレナージ法に対する考え方,手技,ドレナージ困難例に対する対応などについて述べた.胆管癌による胆管狭窄に対するゴールドスタンダードは内視鏡的胆管ドレナージであり,考え方やその対応が他癌とは異なることを解説した.最近では,超音波内視鏡を用いたドレナージが開発され,広く応用されているため,その手技についても解説した.しかし,少なくとも現状では,胆道癌の胆管ドレナージにおいて超音波内視鏡下胆道ドレナージがfirst lineになるのは難しいことも解説した.胆管ドレナージはあくまで姑息的治療であり治療の本質とは異なるため,がん治療全体を見据えた治療戦略をもってドレナージを行うべきであることを強調した.

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