抄録
要旨:総胆管結石に対してのEPBD後に胆道出血が生じ,治療に難渋した1例を経験した.患者は66歳男性,狭心症で冠動脈に薬剤溶出性ステントを挿入され,アスピリン(100 mg/day),硫酸クロピドグレル(75 mg/day)内服中であった.右季肋部痛を主訴として来院され,総胆管結石と診断された.抗血小板薬が中止できないためEPBDを施行した.施行3日後に上腹部痛が出現し,血液検査上,炎症所見と肝胆道系酵素の上昇,内視鏡上,十二指腸乳頭からの出血を認め,胆道出血と診断された.これに対し,ENBD挿入し,抗血小板薬を減薬することで,胆道出血発症10日後に止血し,退院となった.