胆道
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症例報告
EST後6年を経過して発見された粘液産生早期胆嚢癌の1例
長谷部 修越知 泰英成本 壮一大月 聡明保坂 典子
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2011 年 25 巻 5 号 p. 779-788

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抄録

要旨:症例は85歳,女性.6年前に総胆管胆嚢結石にてEST・結石除去術施行.胆嚢結石は本人の希望により放置となった.今回総胆管結石再発を疑われ入院.US・CT・MRI・EUSにて著明な胆道拡張と胆嚢底部腫瘍が疑われた.ERCP・胆道鏡では胆管内に多量の粘液貯留があり,胆嚢内腔から流出する粘液を認めた.CT・MRIでは総胆管・総肝管への腫瘍進展が疑われたが,EUS・IDUS・胆道鏡では総胆管への腫瘍進展は認めなかった.深達度ss浅層までの粘液産生胆嚢癌と診断し,拡大胆嚢摘出術を施行した.病理組織学的には深達度mpの乳頭腺癌であり,胆管内への腫瘍進展やリンパ節転移は認めず,stage Iであった.近年IPNBの概念が普及し,粘液産生胆管腫瘍の報告例は増加しているが,粘液産生胆嚢癌の報告は少ない.本例は総胆管胆嚢結石の経過観察中に緩徐に発育した腫瘍と考えられ,水平方向進展度診断にEUS・IDUS・胆道鏡が有用であった.

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© 2011 日本胆道学会
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