要旨:症例は59歳,男性.右季肋部痛を主訴に他院受診し,胆嚢結石症,急性胆嚢炎の診断にて当科紹介となった初診時血液生化学検査にて白血球10,800 /μl ,CRP 8.49 mg/dl と炎症反応の上昇を認めたが肝胆道系酵素の上昇は認めなかった.しかし腫瘍マーカーではCA19-9が8528 IU/ml と高値を認めた.FDG-PET所見では後期相で取り込みが上昇する悪性パターンを示したため胆嚢癌を完全には否定できず術中迅速病理診断を予定した.しかしCA19-9が術前には正常値へ低下したことを考慮し,慢性胆嚢炎の可能性が高いと判断し腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.切除標本の肉眼所見では胆嚢壁の肥厚を認めるものの粘膜面に悪性を疑う所見はなく,術後病理組織診断にても胆嚢腺筋腫症,慢性胆嚢炎の診断であった.