2012 年 26 巻 2 号 p. 162-168
要旨:総胆管結石の治療は,現在,内視鏡治療が第一選択として広く行われている.欧米においてはESTがその代名詞となっているが,日本においてはEPBDもまた多くの施設で行われている.外科手術と比較した内視鏡治療の利点は,緊急時にも迅速に対応でき,人手をかけずに,短時間で低侵襲下に治療を遂行できることである.また,入院も短期間ですむことから,費用の面でも優れている.しかし一方で,ESTでは出血や穿孔が,EPBDでは膵炎が一定の頻度で合併症として発生し,またそれぞれの治療における適応外症例や治療困難例も存在する.したがって,それぞれの長所・短所をよく理解し,正しい適応・手技,安全かつ効率的に行うコツ,合併症の対処法についてよく知っておく必要がある.