要旨:胆嚢摘出はごくありふれた手術であるが,Duodenogastric reflux(DGR)は,しばしばみられる現象である.DGRの原因としては,胆嚢摘出による胆嚢Reservoir機能の喪失やantroduodenal motilityの低下により,胆汁は食物の刺激により,間欠的に排出するのではなく,連続的に排出されDGRを生じるのではないかと考えられる.
DGRを評価する上において,胆道シンチやBile reflux index(BRI)は,信頼性や再現性もありよい評価法となると思われた.しかし,DGRが長期に食道に及んだ場合,十二指腸液逆流ラットモデルにおいても,食道癌が高率に発生した.このことより,長期にDGRのみられる症例においては,十分な胃,食道のfollow upが必要である.