2018 年 32 巻 4 号 p. 782-787
症例は69歳女性,発熱・右季肋部痛にて当院受診しCT検査にて感染性肝嚢胞が疑われ入院となった.経皮経肝嚢胞ドレナージ(PTAD)を施行し,DIC状態に対して薬物治療を開始した.PTAD tube造影では肝嚢胞と前区域胆管との交通が疑われ,ERCP下での胆管ドレナージ(EBD)を併用したことで感染がコントロールされDICは改善し,PTAD tube及びEBD留置のまま一時退院となった.7週間後に発熱を認め再入院となり,PTAD tube造影でEBDの閉塞に伴い,再び前区域胆管との交通を認めたためEBDを抜去し,PTAD tubeの位置調節を行い,膿瘍腔は消失した.その後外来にてtubeを抜去し,現在再燃なく外来通院中である.本例は胆管と交通を持った肝嚢胞の感染例であり,適切に経皮的・内視鏡的アプローチを選択することで治療できた1例であり文献的考察を含め報告する.