2024 年 38 巻 1 号 p. 118-124
経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)の合併症としては,穿刺ルートに介在する血管損傷や経胸穿刺,腹腔内胆汁漏出による腹膜炎,などがある.血管損傷の予防対策としては,施行前の画像評価,穿刺時の超音波検査による血管穿刺の回避があり,腹腔内胆汁漏出予防対策としては,ダイレーターによる拡張からチューブ留置までの時間を最小限にすることや,穿刺ルート選択,ドレナージチューブの管理方法の工夫などがある.PTBD適応の一つが他の胆道ドレナージ困難例であることから,合併症のリスクがある難易度の高い症例はむしろ相対的に増加しており,合併症の予防対策を十分に理解した上での安全なPTBD施行が重要である.また,経験症例数が減じている状況下での適切なPTBD手技の教育・継承も今後の課題である.