2024 年 38 巻 5 号 p. 755-762
医原性胆道損傷は,内視鏡による損傷もあるが,重篤な損傷は手術合併症に起因する.腹腔鏡下胆嚢摘出術に伴う胆管損傷が多く,発生率は0.5%と報告されている.胆管損傷の形態分類では,Bismuth分類,Strasberg分類が用いられ,治療方針の指標となりうる.胆嚢摘出による胆管損傷の内,肝門部での損傷は肝動脈損傷の併存と胆道再建後の胆管狭窄が高率に発生することが報告されている.炎症を伴い解剖の同定が困難の場合は,早期の修復術は推奨されない.当初はドレナージのみにとどめ,炎症の鎮静化と直接造影などによる損傷部位の精査,肝動脈の副損傷の有無を確認した後の待機手術を検討する.早期に熟練した胆道外科医のいる施設ヘコンサルトすることも考慮すべきである.胆道損傷は,ひとたび生じると治療に難渋しその後の狭窄への対処を要し,生命予後をも脅かす合併症であることを考えると,徹底した予防策を講じることが肝要である.