胆道
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術前に診断が可能であった上部胆管腺扁平上皮癌の1切除例
大塚 英郎鈴木 正徳海野 倫明片寄 友竹内 丙午佐藤 武揚水間 正道渡辺 みか松野 正紀
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キーワード: 胆管癌, 腺扁平上皮癌
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2001 年 15 巻 5 号 p. 399-405

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抄録
胆管原発の悪性腫瘍のうち,比較的稀なものとして胆管腺扁平上皮癌があるが,その報告例の多くは高度な脈管侵襲を伴い,極めて予後不良とされる.症例は56歳・女性.胆道系酵素の異常で発症. 腹部CT検査で肝十二指腸間膜に一致した径2cm大の腫瘍を認めた. ERCP , MRCP では左右肝管から総胆管・総肝管まで約5cmにわたる狭窄と肝内胆管の拡張を認め,上部胆管癌と診断された.経乳頭的に腫瘍生検を行い確診を得た.術前診断が可能であった本症例では,疾患の生物学的特徴より周囲組織を含めた十分な切除が必要と考え,拡大肝右葉切除,尾状葉全切除,胆管切除,肝内胆管空腸吻合を施行した.切除標本の病理組織学的診断は胆管腺扁平上皮癌であった. 術後12ヶ月を経た現在, 再発の兆候を認めていない.
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