抄録
胆嚢結石症に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)前の総胆管結石の診断および治療を, 胆嚢癌合併の観点からも検討した. LC施行予定の胆嚢結石例の15%に総胆管結石合併を認め, 全例内視鏡的乳頭切開術(EST)により採石可能であった.US,CTの総胆管結石検出感度は90%, 正診率は82%であった. US,CTで結石なしとした2%に,DIC/MRCPで結石を認めた.LC前にERCP/EST施行した群の平均入院期間は20日と, 未施行群の11日よりも有意に延長していた.これまでに当院で経験した胆嚢癌107例中胆嚢結石合併は42例(39%)に認め,結石症例は無石例に比べて術前診断が困難であった.術前癌診断が困難で, LCが施行された症例を4例に認めた. LC前に総胆管結石と胆嚢癌の検索は必須であり, これらの検索に対する標準的な検査法の確立が望まれる.