2005 年 19 巻 4 号 p. 505-510
症例は65歳の女性. 頸部の腫大したリンパ節の生検により悪性リンパ腫(B-celltype)と診断され, 精査を進めたところ胆嚢壁の肥厚を指摘された. 胆嚢壁は小結節の多発した不規則な肥厚を示しており, 胆嚢癌を疑い胆嚢摘出術を施行した.胆嚢粘膜にはmultiple lymphomatous polyposisを思わせる小結節がび漫性に集籏していた. この所見は, 術前の画像診断ではMRCPに最も良くとらえられていた.免疫組織化学的検索により, 胆嚢の病変はマントル細胞リンパ腫と診断された.本症は時に消化管にmultiple lymphomatous polyposisを生じることで知られているが, 胆嚢にこのような病変を伴ったという報告は今までにない.