胆道
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肝十二指腸間膜全切除を伴う拡大肝左葉切除を施行した肝内胆管癌の1例
上田 順彦大西 顕司中川原 寿俊吉光 裕木村 俊久澤 敏治
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2006 年 20 巻 1 号 p. 87-94

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抄録

症例は37歳, 男性.腹部CT検査では肝S2に造影効果の乏しい境界不明瞭な病変を認め, 肝門部に進展していた.腹部血管造影検査では固有肝動脈から右肝動脈の不整な狭小化を認め, 門脈本幹は硬化し左枝は描出されなかった.肝S2を原発とし肝十二指腸間膜まで浸潤した肝内胆管癌と診断し, 尾状葉を含む拡大肝左葉切除および肝十二指腸間膜全切除を施行した. リンパ節郭清は胃小彎リンパ節を含めD 2 レベルまで施行した. 動脈・門脈を合併切除後, 動脈門脈シャント(APS)を作製した.切除標本では最大5.2×3.2cmの腫瘍が肝門部および尾状葉に進展していた.門脈本幹では癌が内腔まで及んでおり, 肝側血管断端に癌浸潤を認めた.また胃小彎リンパ節を含めて広範囲にリンパ節転移を認めた.術後16日目の血管造影では挙上空腸から吻合部を介して肝内の動脈が描出されたため, 開存していたAPSを遮断した.術後1年たった現在, 再発の徴候を認めていない.

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