胆道
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急性膵炎を契機に診断された総胆管結石合併choledochoceleの1例
堤 康一郎河本 博文原田 亮藤井 雅邦中西 崇水野 修石田 悦嗣小川 恒由深津 裕寿坂口 孝作
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2007 年 21 巻 5 号 p. 670-676

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抄録

69歳男性.心窩部痛にて近医を受診し,急性膵炎と診断され,保存的加療にて速やかに改善した.腹部CT,MRCPにて主膵管拡張を認め,ERCPを試みるも深部挿管不能なため,当科入院となった.ERCP上,総胆管末端は7mm大に嚢状拡張し,Oddi括約筋を介した後に拡張膵管と総胆管が造影され,共通管に発生したcholedochoceleと診断した.総胆管結石も認めたため,Needle knifeによる切開にて嚢腫内腔を露出後,深部挿管可能となり,ESTおよびバルーン採石術を行った.術後1カ月の主乳頭には胆管口と膵管口の分離を確認した.また初回ERCP時の胆汁中アミラーゼ13930IU/l高値で,膵液の胆管内逆流が示唆され,術後604IU/lと低下した.後日腹腔鏡下胆嚢摘出術を行い,悪性所見なく経過良好である.Choledochoceleによる膵液および胆汁の相互逆流が急性膵炎, 胆石症の一因となったことが示唆された.

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