胆道
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胆石生成に関連した胆汁中酸性コロイドについて
益子 啓新谷 史明伊勢 秀雄鈴木 範美
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1989 年 3 巻 1 号 p. 9-17

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抄録
著者らは, 胆汁中のムコ物質を測定する目的で, コロイド滴定法を導入しグリコTールキトサン(GCh)で酸性コロイドの凝析を起こさせて簡単に定量する方法を検討した.定量に際しては,胆汁色素が中和反応で生じた沈殿物に吸着されることに着目して,胆汁上清440nmの吸光度の最大減少率をもってGChによる酸性コロイドの定量とした. なお,胆汁中でGChにより凝析する物質は限外濾過では高分子相画分に存在し,赤外分光分析で硫酸化糖蛋白とよく類似したスペクトルを示したことから酸性有機高分子物質であることが推定された.胆石症ならびに無石良性胆道疾患例の胆嚢胆汁63例の胆汁中酸性コロイドの検索では,ビ石例や混合石例の胆汁で,また感染胆汁例で多量に存在することが証明された.
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© 日本胆道学会
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