当科で過去8年間に経験したPTBDおよびPTGBD72例(延べ97件)の,ドレナージのチューブ逸脱について検討した.チューブ逸脱は,16件,17%にみられたが,その要因は以下のごとくである.穿刺部位別にみると,経前腹壁より経右側胸壁で,また,チューブの胆管内留置距離の短い場合に逸脱率が高かった.チューブ形状では,pigtail型よりもballoon付きチューブの逸脱率が高かった.チューブ逸脱の誘因は,患者の体動や不注意などのほかに,検査に伴うものも多くみられた,また,ドレナージ後早期の逸脱例では,胆汁性腹膜炎により緊急手術を要した.したがって,チューブの逸脱を防止するには,pigtail型チューブを用い前腹壁から穿刺し,胆管内留置距離を長くする工夫が必要であり,さらに施行後早期には,体動を伴う検査は行わないのが望ましい.