胆道
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5-fluorourackl, Pirarubicin, Mitomycin-C 併用療法(FPM療法)が著効を示した切除不能胆管癌の1例
藤井 秀樹市原 史子須藤 誠高澤 勉宮坂 芳明飯野 弥板倉 淳三浦 和夫山本 正之松本 由朗
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キーワード: FPM療法, 胆管癌
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1994 年 8 巻 3 号 p. 292-298

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抄録

切除不能であった胆管癌症例に, FPM療法(5-fluorouracil, Pirarubicin, Mitomycin-C)を施行し, 腫瘍の消失と症状の著明な改善をみた. 症例は53歳の女性で, 黄疸を主訴とし, 中部胆管癌と肝十二指腸問膜の転移性リンパ節腫大の胆管圧迫と診断した, 門脈は閉塞し, 側副血行路の発達が著明であった. 切除不能と判漸し, FPM療法を施行した. 1クール終了後より疹痛の軽減がみられたが, 腫大リンパ節の大きさに変化なく, 総量 40Grayの体外照射を併施したが腫瘍の縮小は認められなかった. 2カ月めに再度FPM療法を施行し, 疼痛は全く消失し, 転移リンパ節の縮小傾向を認め, 総胆管にステントチューブを挿入し内痩化することができた. この後, 更に2クールを施行したところ, 腫瘍は完全に消失した. 4クール終了蒔に白血球数は300/μlに減少したが, G-CSF制剤の投与により回復した. 初回入院時より1年, 最終FPM療法より6カ月後の現在, 腫瘍の再発は全く認められず, 患者は元気で社会復帰している.

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© 日本胆道学会
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