谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
〈特集1〉医薬品の安全性試験 教科書から学べないもの
10. 最終報告書作成のためのシステム-最終報告書テンプレート、英文最終報告書から施設内レビューシステムまで-
菅井 象一郎猪 好孝
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2010 年 2010 巻 12 号 p. 86-99

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抄録

 本誌の別稿では、非臨床試験の最終報告書を作成するためのライティングの基礎についてまとめた。最終報告書の質を高め、読者(レビューアー)がその内容を理解しやすい(reviewer-friendly)ものとするためには、試験責任者(Study Director: SD)のライティング能力向上とともに、SDによる文書作成をサポートするためのシステムが必要である。本項では、このシステムについて最終報告書テンプレート作成、品質保証、文書管理システムの観点からその一例を紹介する。また、医薬品の国際開発においては、最終報告書を英文で作成することが求められる。一方、日本人の英文作成能力には大きな個人差があり、帰国子女や海外留学・勤務経験者などの一部の例外を除き、初めから優れた英文最終報告書を作成することは困難である。質の高い英文最終報告書を作成するには、SDの英文作成能力向上も必要であるが、SD個人の能力に頼るだけでは十分ではない。すなわち、ネイティブスピーカーによるレビューも含め、英文最終報告書を二重三重にレビューする体制を確立できれば質の高い英文最終報告書を効率的に作成することが可能である。このような観点から、英文最終報告書の作成方法およびその留意点についても最終報告書作成のシステムとして捉え、本稿にまとめた。最後に、最終報告書作成におけるSDの育成体制について考察したい。

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© 2010 安全性評価研究会
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