谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
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谷本学校 毒性質問箱
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はじめに
〈肝毒性〉
  • 佐能 正剛
    原稿種別: その他
    2023 年 2023 巻 25 号 p. 1-8
    発行日: 2023/09/13
    公開日: 2024/08/22
    解説誌・一般情報誌 フリー

     前臨床・臨床試験における開発中止の最も多い要因はヒトにおける予期せぬ毒性発現であると言われる 1)。新薬の臨床開発中に、ヒトで毒性発現が確認された化合物のうち、実験動物を用いた毒性試験におけるヒトでの標的臓器毒性の予測性は、げっ歯類では43%、非げっ歯類では63%であった 2)。実験動物を用いた毒性試験からヒトの安全性を完全に見積もることが難しいことがその背景にあると考えられる。このため、毒性発現の種差を考慮した別の評価系も組み合わせることでその予測精度を上げたアプローチが必要となる。

     そのひとつとして、近年、「ヒト肝細胞キメラマウス」が注目されるようになった。免疫不全の性質と肝細胞への毒性誘発機構を有するマウスに、ヒト肝細胞を移植することにより、マウス肝臓でヒト肝細胞が増殖し、その肝臓の多くがヒト肝細胞に置換されたヒト化肝臓マウスである。医薬品における毒性のうち、特に薬物性肝障害において、実験動物とヒトとの種差を埋めるモデル動物として期待されている。また、薬物性肝障害の予測には、ヒトにおける薬物動態の見積もりも重要な位置づけとなる。本稿では、ヒト肝細胞キメラマウスを用いた薬物動態評価、薬物性肝障害評価の知見から、これまで明らかになってきたこれらの予測性、今後の展望について紹介する。

  • 山口 晃輝, 岡田 祐樹
    原稿種別: その他
    2023 年 2023 巻 25 号 p. 9-11
    発行日: 2023/09/13
    公開日: 2024/08/22
    解説誌・一般情報誌 フリー

     第27回冬のセミナーでは、「毒性評価法の最前線と肝障害の事例研究」というテーマのもと、肝毒性の非臨床及び臨床に関する講演とともに、「肝毒性リスクのある医薬品候補品の開発、あなたならどうする?」という内容で、編集企画委員がいくつかの質問及びそれに対する回答の選択肢を提示し、本セミナーの参加者に最も当てはまる回答に投票後、意見等を発表していただいた。本回答は医薬品や医療機器、農薬等の研究開発を行っている現場の感覚を反映した結果であることから、現場の担当者にとって有用と考え、本記事を執筆した。なお、あくまで参加者や編集企画委員の意見であることから、参考資料として活用いただきたい。

〈心毒性〉
  • 安東 賢太郎
    原稿種別: その他
    2023 年 2023 巻 25 号 p. 12-17
    発行日: 2023/09/13
    公開日: 2024/08/22
    解説誌・一般情報誌 フリー

     薬物誘発性QT延長症候群について、製薬企業が注目するようになったのは1990年代の初めであるが、今日まで引き続くような、QT延長症候群の評価だけで産業が生まれるような、そんな大問題になることを予想していた人はほとんどいなかったように思う。最初に薬物誘発性QT延長が問題視されてからおよそ30年間経過し、当時に生まれてもいなかった人たちが、この問題に主体的に取り組んでいる一方で、問題提起時に活躍していた方々がすでに鬼籍に入られている。本稿は2022年に行われた夏の教育フォーラムの内容をもとに、私の少ない経験ではあるが薬物誘発性QT延長症候群の来し方を振り返り、今後の残された課題を整理する。記憶が曖昧な部分もあり、もしかしたら、物事が起きた順が逆になっているかもしれないが、どうかお許し願いたい。いずれにしても拙稿がより良い医薬品を世に出すために参考になれば幸いである。

  • 土居 正文
    原稿種別: その他
    2023 年 2023 巻 25 号 p. 18-25
    発行日: 2023/09/13
    公開日: 2024/08/22
    解説誌・一般情報誌 フリー

     1990年代、心毒性を理由に市場撤退した非循環器用薬が数多く報告され、その多くは致死性不整脈の一種であるTdP(Torsades de Pointes)誘発やQT間隔延長作用が原因であった 1)。さらに、臨床試験においても、中止となった原因の22%が心循環器系の有害作用によるものであるとのデータもある 1)。このような背景のもと、ICH(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)S7Bガイドライン「ヒト用医薬品の心室再分極遅延(QT間隔延長)の潜在的可能性に関する非臨床的評価」が2004年にICHの総会で最終合意、採択され(Step4)、本邦においては2009年(平成21年)に通知された(Step5) 2)。周知のとおり、本ガイドラインが実装されて以降、医薬品の研究開発においてQT間隔延長の主たる原因であるhERG(human ether-a-go-go related gene)チャネルの阻害活性を指標としたスクリーニングが実施されるようになり、hERGチャネル阻害活性を有しない医薬品を選択する傾向が強 まった。その結果、QT間隔延長によって誘発されるTdP が生じる医薬品はほとんど上市されていないと言われている。このように、hERGチャネル阻害活性評価はTdP の排除においては非常に効果的である。一方で、心筋細胞の活動電位は、複数のイオンチャネル(ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル及びカリウムチャネル)のバランスによって高度に制御されており、hERGチャネル阻害活性を有する化合物でも、その他のイオンチャネルへの影響のバランスによってはQT間隔延長を生じない場合がある。また、QT間隔延長が必ずしもTdP を誘発しないことも知られていることから 3)、有用な医薬品をスクリーニング段階で排除している可能性が指摘されてきた。

     この問題を解決することを目的に、2013年、FDA(Food and Drug Administration)、HESI (Health and Environmental Science Institute)、CSRC(Cardiac Safety Research Consortium)及びSPS(Safety Pharmacology Society)によってCiPA (Comprehensive In Vitro Proarrhythmia Assay)が提案された 3)。CiPAは非臨床評価について、次のような評価フローを提唱している。まず、hERGチャネルを含む複数のイオンチャネルの阻害活性データを取得する。次にそのデータを用いてin silicoシミュレーションで催不整脈性を評価する。最後に、 in silicoシミュレーションの結果を検証するために、ヒトiPS細胞由来心筋細胞などを用いてQT間隔延長、あるいは催不整脈性を評価する(図1 3,4)

     CiPAに基づく国際的な研究活動の結果から、2022年2月にICH E14/S7B Q&AがStep4 となり、本邦において2022年(令和4年)7月22日付けで通知された(Step5) 5)。本稿では、CiPA提唱のそれぞれの評価フローについて概説する。

  • 石坂 智路
    原稿種別: その他
    2023 年 2023 巻 25 号 p. 26-37
    発行日: 2023/09/13
    公開日: 2024/08/22
    解説誌・一般情報誌 フリー

     薬剤誘発性の心毒性は、それを服用する患者の健康を危険に曝すことにつながる。そのリスクを避けるためには、薬剤開発初期の非臨床研究の段階において正確かつ効果的に心毒性評価を行わなければならない 1-3)。近年、薬剤性QT延長症候群のリスク予測を始めとする心臓電気生理学的評価は、日進月歩の発展を遂げている 4-9)。しかし、薬剤による心血管系リスクは、電気生理学的パラメータの異常のみならず、心機能の異常によっても、もたらされる。特に心臓の収縮性、すなわち、変力作用は心機能を語る上で欠かすことができない。内分泌の変化あるいは薬剤投与などの化学的変化により生じる心臓の収縮性の変化は、心筋固有の特性に帰着する。そして、その心筋固有の特性は、収縮開始直前に心筋にかかる前負荷、及び収縮中に心筋にかかる後負荷とは独立している。例えば、変力作用の指標としてよく用いられている左室圧最大立ち上がり速度(LV dP/dtmax)は、前負荷と後負荷が一定の場合のみ適切な指標として用いることができる 10)。また、心電図のQRS波の起点から体動脈圧の立ち上がりの始点までの時間であるQA間隔も、しばしば変力作用を反映するパラメータとして用いられる 11-13) が、電気的刺激から昇圧開始までの潜時、等容性収縮期の収縮時間、及び血圧脈波の伝播時間の影響を受ける 14)。つまり、LV dP/dtmaxとQA間隔は変力作用の指標としてよく用いられるものの、心臓の収縮性そのものは正常でも変動してしまうことがある(表1)。しかし、これらのパラメータは左室テレメトリー法で取得可能であることと解析の容易さもあって、非臨床研究では、依然としてこれらのパラメータに依存している 15)。磁気共鳴CT検査や超音波心エコー法といった画像診断も有用なツールとされるが、大規模な設備が必要となること、評価技術の施設間差、あるいは前後負荷から独立した心収縮性パラメータ取得が困難であることなど、いくつか利便性を欠く点がある。以上のように、非臨床研究における心機能評価方法にはまだ改善の余地がある 16)。これらの問題点を解決する方法の一つに左室-圧­容積(PV)の関係を用いた心機能評価がある 17)。心臓のポンプ機能の特性から、左室圧と左室容積の関係をX軸及びY軸にそれぞれ連続的にプロットしていくとループが描かれることはよく知られており、このPVループの面積は、心臓の一回仕事量に相当する。つまりPVループ解析により、一回仕事量と左室容積の関係を調べることができる。さらに、心臓への負荷条件を変化させると一回仕事量と拡張終期容積も変化していくが、その関係性は一本の直線上に乗ることが知られている。これは収縮性の程度に対して一義的であることを示し、左室負荷の変化とは独立して心筋の収縮性を正確に反映していることを示す。そしてこの直線の傾斜は、収縮性の増加で急峻になり左方へ移動し、収縮性の減少で鈍化して右方へ移動する(表2)。近年のPVカテーテル技術の改善により、アドミタンス法による左室(LV)PVの正確な測定が可能となった。この方法は、血流と心筋細胞のキャパシタンスを含む心筋のコンダクタンス要素を組み込んでいる 18-20)。このPVループ法を用いた非臨床研究は主にげっ歯類で行われている 21,22)。非げっ歯類、特にサルを用いた研究データは毒性学分野では依然として重要な位置を占めており 23)、心血管系安全性プロファイルの評価を行う安全性薬理試験においてもしばしば用いられている 9,24)にも関わらず、PVループ法を用いた心機能評価の報告はほとんどない。

     本稿では、カニクイザルにおけるPVループ法による評価手法を紹介するとともに、薬理作用のよく知られているホスホジエステラーゼⅢ(PDE3)阻害薬であるミルリノン、代表的な選択的アドレナリンβ1受容体遮断薬であるメトプロロール、クラスⅢ抗不整脈特性を有する非選択的アドレナリンβ受容体遮断薬であるdl-ソタロールをそれぞれカニクイザルに投与した際の心血管系パラメータの変動とその解釈について述べる 25)。さらに、ヒト上皮増殖因子受容体2(ErbB2/HER2)を標的とするヒト化モノクローナル抗体であり、臨床において心機能不全を誘発することが知られているトラスツズマブの評価結果についても紹介する 26)

〈がん原性〉
  • 近藤 千真
    原稿種別: その他
    2023 年 2023 巻 25 号 p. 38-42
    発行日: 2023/09/13
    公開日: 2024/08/22
    解説誌・一般情報誌 フリー

     がん原性試験を製薬メーカーが自社施設で実施することは、背景値の収集、設備や人的リソースの確保、試験実施やその準備を含めたコストなどの点から、非常にハードルが高い。このことから、多くの製薬企業は、外部の試験受託施設(Contract Research Organization:CRO)にがん原性試験の実施を委託することになる。がん原性試験は、他の非臨床試験と異なり、当局と相談しながら試験を進めるなど、注意すべき点が多い。また、がん原性試験の実施には長い期間と高額な費用を要し、開発後期に計画されることが多いため、試験の不成立が当局への承認申請時期に与える影響は極めて大きい。本稿では、Global開発化合物のがん原性試験を適切に遂行・完了させるために、どのような点に注意すべきかについて、がん原性試験の流れに沿って紹介する。

  • 嶋本 敬介
    原稿種別: その他
    2023 年 2023 巻 25 号 p. 43-48
    発行日: 2023/09/13
    公開日: 2024/08/22
    解説誌・一般情報誌 フリー

     医薬品のがん原性評価の一環として、ラットとマウスの2種のげっ歯類を用いる長期がん原性試験が行われている。長期がん原性試験は、動物のほぼ生涯となる約2年間にわたって薬物を曝露させ、雌雄合計400匹以上の全身全臓器の病理組織学検査を実施することから、試験開始から試験終了まで3年以上に及ぶ極めて長期間を要する特殊毒性試験である。開発後期の実施頻度の高くない試験である一方で、多数の技術者と専門家を有するGLP施設が必要となることから、ほぼ全てのがん原性試験が専門のCRO(Contract Research Organization)で委託試験として実施されている。

     2022年9月に実施された安全性評価研究会の第30回夏の教育フォーラムにおいて、「がん原性試験の実際」と題し、CRO担当者の立場から、がん原性試験の受託においてCRO担当者が試験委託者から質問を受ける事柄や、試験現場で直面している事柄を紹介した。本稿はその内容をまとめたものである。なお、令和5年3月10日に医薬品のがん原性試験に関するガイドラインの改正がなされており 1)、特に断り書きがなければ当該ガイドラインを参照している。

  • 永井 博文
    原稿種別: その他
    2023 年 2023 巻 25 号 p. 49-53
    発行日: 2023/09/13
    公開日: 2024/08/22
    解説誌・一般情報誌 フリー

     がん原性試験成績のヒトへの外挿性評価は医薬品の承認可否判断や市場からの撤退に影響する最も重要な非臨床安全性評価の一つである。げっ歯類のがん原性試験で認められた腫瘍のうち、ヒトへの外挿性を否定できない腫瘍については添付文書で注意喚起した上で市販されている場合があるが、市販後調査結果によってヒトでの発がん性が明らかとなり市場撤退を余儀なくされた医薬品も存在する。本稿では、まず、がん原性試験の医薬品開発過程における位置付けについて概説したのちに、筆者自身が過去に病理担当者として携わったがん原性試験で認められた腫瘍のなかで、市場撤退及び市場撤退の回避判断の基となったラットがん原性試験成績のヒトへの外挿性評価の実例を紹介する。次に、米国でロルカセリンが2020年に市場撤退したことで話題となった、高プロラクチン血症起因のラット乳腺腫瘍のヒトへの外挿性評価の変遷について紹介する。最後に、ラット子宮内膜腺癌と高プロラクチン血症との関係に関するブロモクリプチン説の紹介に加えて、ラット子宮内膜腺癌発生頻度増加の機序に関する新たな仮説についても紹介する。

〈毒性評価法の最前線〉
  • 田中 利男
    原稿種別: その他
    2023 年 2023 巻 25 号 p. 54-63
    発行日: 2023/09/13
    公開日: 2024/08/22
    解説誌・一般情報誌 フリー

     ゼブラフィッシュは発生においてヒトと多くの共通点があり、ハイスループットなスクリーニング手法に対応できる唯一の脊椎動物であることから、環境生態発生毒性試験のモデル生物としてOECD(経 済協力開発機構)において長年活用されてきた 1)。さらに2020年2月18日にICH(医薬品規制調和国際会議)からDETECTION OF REPRODUCTIVE AND DEVELOPMENTAL TOXICITY FOR HUMAN PHARMACEUTICALS S5 (R3)が報告され、医薬品開発においてもゼブラフィッシュの活用が注目されている 2)。しかしながら、従来からのゼブラフィッシュ発生毒性試験において、再現性や定量性などの問題、データの品質や解釈のばらつきによる施設間、及び国際的な互換性欠乏など数多くの課題が残されており、これらの解決や克服に多くの努力がなされてきた。その中でゼブラフィッシュの飼育品質管理、自動イメージングシステム技術及び画像データ解析など、いくつかのプロセスで、デジタルトランスフォーメーションの挑戦がなされている。そこで、我々をはじめ、世界における現代のゼブラフィッシュ発生毒性学におけるデジタルトランスフォーメーションの到達点を例示するとともに、今後の21世紀における展開についても明らかにしたい。

〈不純物・添加剤〉
  • 岡橋 典子
    原稿種別: その他
    2023 年 2023 巻 25 号 p. 64-69
    発行日: 2023/09/13
    公開日: 2024/08/22
    解説誌・一般情報誌 フリー

     医薬品製剤には、有効成分以外にも多くの化学物質が含まれている。すなわち、原薬に含まれる不純物、患者の服用に適した形に製剤化する過程で製造設備や器具、水、容器及び施栓系から混入する不純物、製剤化を容易にしたり安定性を高めたりする等の目的で加えられる添加物等の化学物質がそれに当たる。

     意図する、意図しないに関わらず、患者が服用する以上、これら医薬品製剤中に存在する不純物や添加物についても安全性を評価する必要がある。しかしながら、多くの時間と費用をかけて試験を行い、その薬理作用や安全性を明らかにする有効成分とは異なり、不純物や添加物について、全ての安全性試験を新規に実施することは基本的に難しい。そこで、不純物や添加物の安全性は、ICH(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)ガイドラインで設定されている指標値を用いて判断する、既存のデータベース等から安全性情報を調査し、リスク評価を行うといった方法が選択される。

     本稿では、ICH ガイドラインの不純物に対する指標値、及び安全性情報の調査に用いられるデータベースの例を紹介し、調査した安全性情報をもとに許容一日曝露量(Permitted Daily Exposure: PDE)を算出する方法について概説する。

  • 棚治 隆史, 甲田 章 , 原田 聡子, 松下 聡紀, 宅見 あすか
    原稿種別: その他
    2023 年 2023 巻 25 号 p. 70-75
    発行日: 2023/09/13
    公開日: 2024/08/22
    解説誌・一般情報誌 フリー

     医薬品開発における安全性評価の対象は有効成分(active pharmaceutical ingredient: API)に留まらず、原薬及び製剤中の不純物や製剤中の添加剤に及ぶ場合がある。不純物や添加剤の安全性評価にはAPI以上に工夫が必要な側面がある。例を挙げれば、調査や実施済みの毒性試験によって評価対象物質の安全性情報が得られる場合がある、CMC(chemistry, manufacturing and control)部門との連携次第で評価戦略が変化する、評価対象物質の毒性試験を実施する場合には被験物質確保の問題、さらにはAPI評価ほどの費用や期間を割くことが難しいことなど、検討事項が多岐にわたる。そこで、第30回夏の教育フォーラムでは、不純物・添加剤の安全性評価について、基本的な考え方と実践的な評価方法を学ぶことを目的として、不純物・添加剤を特集したセッションを企画した。講演として福地準一先生(医薬品医療機器総合機構、PMDA)に医薬品不純物を取り巻く国内外規制状況の概説をいただき、岡橋典子先生(株式会社住化分析センター)には医薬品不純物・添加剤等の安全性情報調査の方法と評価事例をご紹介いただいた(前稿参照)。また、ICH M7ガイドラインに準じた変異原性不純物評価の工程を黒岡貴生先生(キッセイ薬品工業株式会社)に解説いただき、不純物評価のスキームの理解に繋げた。

     また、著者らは、PMDAのウェブサイト上で公開されている既承認医薬品及び再生医療等製品の審査報告書及び申請資料概要を対象とした調査を行い、不純物・添加剤の安全性評価の現状を明らかにするとともに、特徴的な事例を抽出して実用的な情報として発表した。本稿ではその調査結果から抜粋した内容を紹介する。

〈安全性評価における変化と挑戦〉
編集後記
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